きのこに興味を持ちはじめて、
きのこを意識して探すようになると、
きのこはもちろん、その周囲にある、
いろいろなものも目に入るようになっていきます。
ぼくの場合、きのこから始まって、
次に粘菌(変形菌)にも興味を持つようになって、
コケや地衣類にも目を向けるようになりました。
いわゆる、隠花(いんか)植物です。
生物は、ずっとずっと昔、
動物界と植物界の2つに分けられており、
植物はさらに花が咲く高等な顕花(けんか)植物と、
花が咲かない下等な隠花植物とに分けられていました。
花が咲かない、とは、胞子で増えること。
ぼくが写真撮影の被写体として大好きな、
きのこや粘菌やコケや地衣類などは、
すべて隠花植物だと言えるわけで、
いまや生物学的には死語になってしまいましたが、
ぼくは、隠花植物という生物学的なくくりも、
言葉そのものも、大好きなんですよね。
それはそうと、コケも地衣類も、
ぱっと見には、緑一色みたいな感じですが、
じっくり見てみると、
その造形も、色味も本当に美しいです。
コケや地衣類は、
世界のありとあらゆる場所に生息しているので、
えいやあ、と、10倍程度のルーペを買って、
ぜひぜひ観察してみてください。
コケのように深くて渋い緑系の色を苔色と呼びますが、
なんと、そんな名前がついているきのこもいるんです。
それが今回ご紹介する、コケイロサラタケです。
コケイロサラタケは、
夏から秋にかけて、腐朽木から発生。
群生することもしばしばです。
きのこは、浅い椀形〜平らな皿形の頭部(子嚢盤)と、
短い柄からなっています。
新鮮なときは、その名の通り、
オリーブ緑色〜オリーブ黄色〜オリーブ褐色で、
乾燥してくると栗褐色〜黒色っぽくなります。
「お皿」の経は0.7〜1cmくらい。
柄の長さは0.1〜0.3cmほどです。
食不適。
まあ、こんな形のきのこだし、
あまりにも小さいし、とりあえず、まあ、
観察、鑑賞するに留めましょう。
それにしても、隠花植物は、
生物学的には死語になってしまいましたが、
明治時代の知の巨人と言われた、
あの南方熊楠が生涯を通じて研究していた、
となれば、文化的にはまだまだ現役です。
南方熊楠って誰?
という方は、ぜひぜひ、いますぐ、
おググり遊ばせ。
すんごい人ですぜ。