もう10年以上も、きのこの写真を撮り続けていて、
きのこの本を出版してしまうなど(それも数冊!)、
日々、かなりきのこにまみれた生活をしてますが、
そのうえで、きっぱりと断言するなら、
きのこは本当に奥が深く、難しく、
知れば知るほど、疑問が増えていくばかりです。
実は、それほどきのこに詳しくなくても、
きのこの本を出すことが可能なんですよ……(笑)。
そう、きのこに詳しい、優秀な編集者がいて、
さらに専門家にきっちり監修していただく、と。
つまり、ぼくが、種を気にすることもなく、
好きなきのこを好きなスタイルで撮影し、
知ったかぶりの文章を書いたとしても、
もろもろきちんと修正をしていただけるんです!
それにしても、きのこの同定は、難しいっす。
自分では確信しているつもりでも、
あとから人に間違いを指摘されるなんてしばしば。
なので、ぼくは、種の同定はひとまず置いておいて、
きのこそのものを楽しみたいと思っています。
さて。
キシャモジタケは、夏から秋にかけて、
地面に埋もれた広葉樹の朽木から発生します。
その名の通り、しゃもじ形〜棍棒形で、
色は橙黄色〜濃黄色、全体の長さは2〜3cmほど。
頭部は全体の長さの3分の1〜2分の1で、平滑です。
類似のカバイロテングノメシガイは、
乾くと色が黒く変色しますが、
キシャモジタケは黄色のまま。
ぼくは、顕微鏡を持ってないので、
発見後、数日してから同じ場所を訪れ、
黄色のままだったらキシャモジタケと、
ややいい加減な方法で同定しています。
食不適。
まあ、形も、色も、質感も、
食べたい、と思わせる要素があまりありません。
変わった形だし、黄色できれいだし、
じっくりと鑑賞させていただきましょう。
それはそうと、
きのこについてあんまり勉強してなくても、
長い間きのこに関わっていると、
きのこのことがそこそこわかってきます。
門前の小僧習わぬ経を読む、のきのこ版。
学前の写真家習わぬ図鑑を読む、
とでも言ったところでしょうか……(笑)。