基本的に「普通」とは、
自分に馴染みがあるとか、
いつでもどこにでもあるとか、
珍しくないとか、そんなイメージですが、
自分にとっては一般的なことでも、
他の人にとっては珍しくて特別、
なんてこともけっこうありますよね。
北海道は道東地方の阿寒湖周辺は、
きっと、他地域で暮らしている人にとっては、
そこそこ特殊な環境じゃないかと思います。
広大な森林があるし、何より、亜寒帯で寒いし。 北海道だけで見られるきのこは、
それほど多くはないでしょうが、何種かいます。
しかし、北海道では見られないきのこの方が、
圧倒的に数が多いのではないかと思います。
だって、きのこはカビの仲間なので、
そこそこ暖かくてじめじめ湿っているところが、
大好きなはずですから。 現在、地球温暖化が進行中なので、
北方系のきのこはどんどん南下し、
南方系のきのこはどんどん北上しているとか。 北海道以外の場所に出かけたとき、
阿寒ではあまり馴染みがないきのこを見つけると、
もう、嬉しくて嬉しくて。 と、いうことで、今回は、
岩手県の和賀山塊の麓で見つけた、
クチベニタケをご紹介しようかと。
あ、クチベニタケは、
北海道でも発生していますし、
特に珍しい種ではありません、はい。
でも、阿寒ではあまり見かけないんですよねえ……。 クチベニタケは、
夏の終わりから秋にかけて、広葉樹の林地に発生。
(崖のようなところに多く発生するとか)
群生することもしばしばです。 一見、まんまるに見えますが、下部をよく見ると、
飴色で細長く束状の偽柄が伸びています。 たまご形〜球形の頭部は、汚白色〜灰黄色で、
鱗片状のささくれが付いていることも多いです。
経は5〜10mmほど。
星形に裂けたてっぺんの孔口が、
口紅を塗った唇のように鮮やかで色っぽいです。 謎が多いきのこですが、最近の研究によって、
樹木細胞の内部に侵入しない菌根菌であること、
傘の裏側が管孔(網状)になっていることが多い、
つまり、なんと、あの、イグチの仲間であることが、
明らかになってきています。 たくさんの種類のきのこを見るなら、
いろいろな場所へ出かけなければ、
と、思いつつ、でも、原生林も見たいから、
阿寒や東北地方北部ばかりを訪れてしまうのですが、
いつかは、まあ、地球スケールで、
南半球にも遠征してみたいですね(笑)。