ぼくは、もう何年も、
人の手があまり入ってない美しい森と、
きのこや粘菌の姿を求め、その両方が見られる、
北海道は阿寒の森をベースに撮影しています。
というか、そこで生きています(笑)。
同じ理由で、東北地方の、
白神山地や八甲田山の周辺にも、
毎年数回は出かけています。
「人工」の反対語が「自然」であるように、
利便性や快適さは、往々にして、例えば、
暑さ寒さが抑制されたり虫が少なかったりと、
いわゆる身の回りに存在する自然を忘れさせます。
(良し悪しの問題ではありませんが……)
ぼくはどちらかというと、
街の利便性より、田舎の自然を好むので、
30歳前に東京から北海道に移住してから今の今まで、
ときどき大都会が恋しくなるものの、
基本的には田舎での生活を堪能しています。
北国の冬は厳しいですが、
春の訪れの素晴らしさは半端じゃなく、
この「浮世の天国感」を味わうために、
マイナス20度を下まわる寒さも、
生産性がまったくない超重労働の雪かきも、
耐えに耐えていると言っても過言ではありません。
そして、北国の、春。
雪が解けた大地に美しい草花が咲き乱れているのに、
きのこファンは、花を見ず、菌を見るんです(笑)。
今回ご紹介する写真に写っている花は、
皆さんよくご存知の、カタクリです。
カタクリが群落になっているさまは、
人々を感動の渦に引きずり込みますが、
きのこファンは、花を見ずに、葉を注視。
カタクリがたくさん生えていればいるほど、
出会う確率も増えるというもの……。
そう、今回の主役は、
その名も、カタクリさび病菌と申します。
カタクリの葉っぱを見ると、
何やら黄色〜オレンジ色の何かが……。
さらに凝視すると、直径1mmもないくらいの、
小さなお皿が並んでいるのが見えます。
このお皿の中で胞子が形成されるのだとか。
いろいろ調べてみると、どうやら、この胞子は、
土壌中で、夏を越し、冬も越し、早春に発芽して、
萌芽した寄主植物に感染するのだとか。
「カタクリさび病菌」と言う名前ですが、
アマナにも感染するとか。
食毒不明。
毒性があるとの情報はないので、
もしかしたら、感染しているカタクリの葉を、
食べてしまったところで無害なのかもしれませんが、
まあ、食べない方がいいでしょうね(笑)。
きのこがなければ、菌を探せ!
冬と春を過ごすきのこファンの鉄則です、はい。
ルーペで見ると、感動も拡大されまっせ。