人は五感で得た情報を脳みそが分析して、
外界というものを理解している、というか、
つくりだしている、と言えるかもしれません。
同じ世界を見ているつもりでも、
実は、違う世界として認識しているのかも。 人の脳が外界情報を分析するにあたり、
最大限に使っているのは視覚に違いありません。
ぼくも、目に頼り切った日常生活をしています。 一緒に暮らしていた柴犬のはなさんは、
人間とは異なり、鼻に頼った生活でした。
(誰? はなだけに、なんて親父ギャグを言うのは!)
鼻で世界を「見ていた」のかなあ……。 しかし、この、視覚ってのが、
いろいろと騙されるわけです(笑)。
早とちりする、というか。 きのこを好きになって、
きのこを求めて野山を駆け巡ると、
いろいろなきのこが目に入るようになります。
「きのこ目」ですね。 と、同時に、いろいろなものが、
きのこに見えてしまうんですね、これが(笑)。
あ、珍しいきのこ発見!と近づいてみたら、
木っ端だったり、ゴミだったり、などなど。 そして、きのこそのものを見るときも、
ぱっと見て、あのきのこだ!とすかさず同定して、
あとから誤りに気づくなど、日常茶飯事です。 今日ご紹介するオニイグチは、
なかなか同定がやっかいなんですね。
オニイグチモドキという似たきのこがいるわけです。 オニイグチは、夏から秋にかけて、
ミズナラなど広葉樹の地面から発生します。 傘は、経3〜12cmくらいで、
半円形〜平らなまんじゅう形。
表面は黒〜暗褐色の大形鱗片で覆われています。 傘の裏は管孔で、白色のちに灰褐色〜黒色に。
傷つけると肉同様に赤くなったあと黒く変色します。 柄は高さ5〜15cmほど。
傘と同じく綿毛状鱗片に覆われていて、 中実で同幅です。 ちなみに、正確な同定には顕微鏡が必要ですが、
オニイグチの鱗片は綿毛状、
オニイグチモドキの鱗片はやや固いとげ状、
ということで、ある程度、見分けられます。 また、
それほど美味、というわけではありませんが、
両種ともに、食用になります。 ぼくは、性格的にも早とちりと言われるので、
視覚も加味すると、きのこの同定には、
あまり向いてないかもしれません……。