不正解、食べられません!
ツリガネタケ食不適

それにしても、冬は、
きのこや粘菌を観察するには不毛な季節ですな。
けっこう長い間、雪や氷に閉ざされる、
寒い地方であれば、なおさらです。

じゃあ、北国在住のきのこファンは、
冬の間、室内に閉じこもっているかというと、
やはりそんなことはまったくなく(笑)、
防寒対策をしてフィールドを、うろうろ、うろうろ。
それがまた楽しいわけです。

北海道の冬は、きのこや粘菌だけではなく、
すべての生きものたちにとって、すんごく過酷です。
軽く-20度を下回るような強烈な寒さに耐えに耐え、
その生命の灯を灯し続けるわけです。
それは、ときに種感動的ですらあります。

そんな光景を目の当たりにしたのが、
1年のうちでいちばん寒い、2月上旬に、
阿寒湖のお隣の屈斜路湖に遠征したとき。
今回ご紹介する写真をご覧あれ!

サルノコシカケの仲間で多年生のツリガネタケが、
強風で湖水が岸に打ち付けられて飛び散って凍った、
いわゆるしぶき氷に包まれています!

ツリガネタケは、
広葉樹の生立木の幹や倒木などから発生。
多年生なので、どの季節でも見ることができます。
大小2つの型があるとかで、
写真に写っているのはおそらく大きなタイプです。

大きな方。
傘が丸山形〜馬蹄形で、
幅は5〜30cm、厚さは3〜25cmくらい。
表面は硬い殻皮で覆われていて、灰白色〜灰褐色。
無毛で、環紋と環溝があります。
肉は黄茶色で強靭なフェルト質です。
傘の裏側は灰白色で、
ヒダではなく、たくさんの孔が集まった管孔です。

小さな方。
傘の経は3〜8cm、釣鐘形〜馬蹄形で群生。
顕著な環紋と環溝が見られます。
縁は裏面よりも伸びていて、
傘裏の管孔部分がしばしば凹んだ感じになります。
カンバ類に多く発生するとか。

食不適。

まあ、こんなに固ければ、
まったく食用にはならないかと。

昔の人は、硬い殻を割って中を取り出し、
火を点ける際の火口に使ったのだとか。

氷に覆われてしまったツリガネタケですが、
外気が時に-30度近くまで下がる、と考えたら、
逆に保温になっているのかも!
などと愚考してしまいます(笑)。

がんばれ、きのこ!
春はもうすぐだぜ!

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。