きのこのことをあまり知らない人に、
特徴や観察方法などを説明するとき、
きのこは秋に発生するというイメージがありますが、
実は1年中見ることができます!
などと言ったりするのですが、
やはり、冬から春にかけては、
きのこ不毛の季節と言わざるを得ません。
多年生のサルノコシカケの仲間とか、
一部のきのこくらいしか見られません。
冬の間、きのこファンは、
きのこを見たくててうずうずしてるので、
少しでも暖かくなると、野外へと飛び出していきます。
しかし、きのこ、まったく、見つからず!
懲りずに、また、きのこ探し!
まったく、見つからず!
そんなことを数回繰り返すうちに、
正真正銘、春がやってきます。
わくわく。
桜の花が開花しようが、
スプリングエフェメラルなどと呼ばれる、
可憐な草花が大地で花を咲かせようが、
ひたすら地面に視線を注ぎ、
ひたすら春のきのこを探します。
そして、しばらくすると、
きのこファンのSNSには、
おなじみの春きのこの写真が一斉に出回ります。
春告菌とも呼びたくなる、そのきのここそ、
今回ご紹介する、アミガサタケであります、はい。
アミガサタケは、春に、
森林内の地上、道路の法面、路傍などで発生。
思いの外、人間の生活圏に近い場所で見つかります。
頭部は、たまご形〜卵状円錐形で、
淡黄白色〜黄褐色〜帯赤褐色。
蜂の巣状にたくさんの穴が空いています。
柄部は白色〜淡黄褐色で、ザラザラして円筒状。
頭部〜柄部を通じて高さは5〜12cmくらい。
肉は薄くてもろく、中は中空です。
類似種がけっこうたくさんありますが、
ほとんどが食用になるみたいです。
英語ではmorel(モレル)、
フランス語ではmorille(モリーユ)
と呼ばれ、古くから知られる絶品食用きのこです。
最近、日本でも、
春のおいしいきのこ、として認識され、
採集する人が増えているようです。
ただし、生食は厳禁。
お酒と一緒に摂取すると悪酔いすることも。
どうぞ、ご注意あれ。
それにしても、今回の写真を撮影した場所は、
岩手県のとある川に沿った林なのですが、
これほどの群落は初めて見ました。
トクサと何らかの関係があるのかは不明です。