サクラの開花は、日本人にとって、
大イベントだと思うんですよね。
数あるサクラの種類の中でも、
圧倒的な人気を誇るのは、ソメイヨシノ。
オオシマザクラの雑種とエドヒガンがいわば親で、
百数十年前に交雑してできたのだとか。
全国津々浦々に広まっているソメイヨシノは、
なんと、たった1本の木から広まった、
いわば、クローンなんです。
知ってました?
そして、その、日本の春を美しく彩り、
日本人を虜にするソメイヨシノの天敵のひとつは、
我らが菌類なんですよねえ……。
ぼくは、もちろん、サクラの花は大好きで、
春に、各地で、花見をするのが楽しみなのですが、
それ以上に、きのこが好きなので(笑)、
たとえ満開のサクラが目の前にあっても、
必ず、きのこを探します!
今回ご紹介する写真がまさにそうなのですが、
サクラの花だけではなく、きのこだけではなく、
その両方が一緒にあって、はじめて、
ぼくのイメージする春の光景なんです、はい。
写真のきのこ、オオミノコフキタケは、
広葉樹の立木や枯木から発生します。
傘は半円形〜腎臓形で、灰色〜灰褐色。
ココアパウダーのような胞子を帯びている姿も、
けっこう多く見かけます。
切断面を見ると、
硬い表皮、その下にコルク質の肉、管孔と、
境目はやや不明瞭なものの、3層になっています。
傘裏の管孔は白黄色で、こすると褐色に変色します。
サルノコシカケの仲間なので、多年生。
年々少しずつ大きく成長していきます。
経は5〜20cmくらいのものをよく見かけますが、
大きなものだと、その倍くらいあることも。
かつては本種と混同されていた、
コフキサルノコシカケは、
北部や標高が高いところで見られる、
やや北方圏系のきのこ。
関東以南の標高の低い場所で見られるのは、
ほぼオオミノコフキタケだと思われます。
他にも、顕微鏡で観察すると、
オオミノコフキタケは、
「オオミ」という名のとおりに、
胞子が大きいのが特徴です。
食不適。
まあ、どこからどうみても、
おいしくはなさそうです。
それにしても、
待ちに待った春がやってきても、
きのこファンは、当然のことながら、
花より団子、ならぬ、花より菌なのでした。