もう20年以上も、初夏から晩秋まで、
阿寒湖の森に入り浸っているのと同様、
春は、東北地方をうろうろしています。
東北地方の北部では、例年、GWくらいに、
街ではサクラが、野山では草花が見頃になるので、
どこへ行っても、わくわく、うきうき。
おまけに山菜も採れたりするので、
一石二鳥どころか、三鳥、四鳥で楽しめます。
しかし、まあ、何というか、
自然が相手だと「想定外」は付きものですが、
昨今では、地球温暖化なんぞも影響してか、
ある年は降雪量が多すぎるとか、
ある年はサクラの開花が例年より10日も早いとか、
ほぼ毎年、気候が不順になっている気がします。
と、なると、
20年以上にわたっての訪問経験は大きな武器。
ここがダメならあそこへ行ってみよう、
それでもダメならあきらめてラーメンを食べよう、
などと、代案が次々に浮かんできます。
ミズバショウやサクラが咲いたと思ったら、
もうカタクリやキクザキイチゲも咲いており、
シラネアオイやらトウゴクサイシンやら、
ニリンソウやら各種エンレイソウがわっと開花、
気がつけば森は優しい新緑に覆われ……と、
北国の春は、あっという間に駆け抜けていきます。
雪が解けたばかりのブナの森を散策すると、
そこここに大量に落ちているブナの実(殻斗)に、
何やら小さくて白いものが見えます。
拾い上げて、よく見ると、え? きのこ?
それこそ、ブナノシロヒナノチャワンタケです。
ブナノシロヒナノチャワンタケは、春に、
ブナの殻斗(ブナ科植物の果実を包む器官)から発生。
全体が白色、大きなもので直径3mmほどの「椀」と、
細長い柄を持っています。
胞子が熟成してくると、
お皿の内側が黄色っぽくなってきます。
食毒不明。
まあ、毒はなさそうですが、
これだけ小さいきのこだと、
どれほどたくさん集めたところで、
食用にするのも大変です。
それよりもルーペでじっくり観察すると、
「お椀」の裏側から柄の上部にかけて、
細くて白い毛が見えたりして、
そりゃあ面白いです。
見つけたら、ぜひ、じっくり、ご覧あれ。
2022年の春の東北地方北部は残雪が多く、
5月中旬を過ぎても林道の雪が消えずに、
いつもの撮影場所へ行けなかったりしました。
一方、2023年の春は、
例年よりも10日も早く史上最速でサクラが開花、
同様にいつものフィールドで出会えるはずだった、
草花はとっくに散ったり落ちたりで、
これまた撮影に難儀しました。
これから先は、いったい、
どうなっていくのかちょっと心配です。