春から初夏にかけては、
例えば、サルノコシカケの仲間のような、
多年生のきのこ以外はほとんど見られない、
というわけではありません。
しかし、しかし、
「きのこ目」も冬眠から覚めたばかり。
きのこを見つけづらいことは間違いありません。
冬の間になまってしまった、
目と足腰と勘を元に戻すべく、
とにかく、時間があればフィールドへ出向き、
歩いて、しゃがんで、腹ばいになって、歩いて、
きのこシーズンの到来に備えます。
(結局、常に森に通ってる!)
木々の葉の新緑が美しい季節。
様々な樹種の若葉の緑鮮やかな透過光を堪能したら、
すぐに生立木の上へ下へと視線を這わせ、さらに、
地面を覆う植物の間に潜む倒木をチェック。
もちろん、草花の下の地面を凝視。
なかなか、忙しいです。
そして、けっこう、疲れます。
そんな努力は必ず報われます。
アネモネタマチャワンタケが生えてないかと、
キクザキイチゲの花の周りの地面を探していると、
ん? んんん?
はい、エツキクロコップタケを発見!
エツキクロコップタケは、春に、
地中に埋もれた広葉樹の枝から発生します。
形状は、まさに、名前の通り。
柄が付いた黒いコップのような形です。
コップの部分は倒卵形〜倒円錐形で、
縁部には星形の裂け目を生じて、
だんだん開いていきます。
経は1〜3cmほど、深さは0.8〜2cmほど。
柄は長さ2cmくらいまで。
外側は暗褐色の毛状菌糸に包まれています。
食毒不明。
春に見られる貴重なきのこです。
食べよう、などとは考えずに、
出会えた幸運に感謝しつつ、
ぜひ、見て愛でましょう。
いつもいつも、阿寒湖最高!
と叫んでおりますが、春から初夏にかけての、
東北地方のフィールドも魅力がいっぱいです。
花より団子、花より菌、で、
春をとことん楽しみましょう。
と、いうことで、今回の写真は、
岩手県のとある高層湿原で5月中旬に撮影しました。
ミズバショウは、遅霜で「焼けて」しまい、
残念ながらあまり美しい群落はなかったのですが、
近くでは放牧された牛たちがのんびりと草を食み、
様々な鳥たちが鳴き交わし、
そりゃあ気持ちのいい1日でした。