雨が降らず、森がからからで、きのこが少ないから、
目ではなく耳で森を堪能しようとすると、
それはそれで、幸せな時間が過ごせるんです、はい。
エゾハルゼミの爽やかな声が、
たくさんの森の木々のあちこちで反射して、
いろいろな角度から降り注いできます。
加えて、シジュウカラや、ミヤマカケスなど、
いくつもの野鳥の声が重なり、さらには、
アカゲラやクマゲラなどのキツツキが、
特徴的な大きな鳴き声に加えて、
ダダダダダ、と木をつっつく音もあちこちで。
倒木の上に腰掛けて、森の空気にひたっていると、
ついつい時間を忘れてしまいます。
あまりに雰囲気がいいと、写真も、かえって、
たくさん撮れないんですよ、これが。
それでもプロか(笑)!
しかし、そんな天国状態も、
現実に引き戻される瞬間があるわけで。
虫、です。
蚊は耳元に不快な音を残して、
首筋や腕の周りを飛び回るし、
ハエは汗をなめようとするのか、
次々と顔や腕にアタックしてきます。
イライライライラ……。
そう、ぼくは、常々、
森は素晴らしい!と申しておりますが、
なかなか不快なおもいをすることもあるわけです。
それが、自然。
人間の思惑とはまったく無関係。
で、現実に引き戻されたところで、
座っていた倒木の隣の倒木を確認してみると、
おお、小さな小さなタモギタケを発見!
タモギタケは、初夏から秋にかけて、
ニレやカエデなど広葉樹の倒木や切株から発生。
傘は通常円形で平らに開き、中央部がへこみます。
表面は鮮黄色〜淡黄色で平滑です。
ヒダは白色のちに多少黄色を帯び、
柄に向かって長く伸びています。
柄は白色、または、黄色、
基部で互いに合着し、しばしば分岐します。
食。
夏を代表する食用きのこで、
癖がなくさっぱりとした風味です。
阿寒湖周辺でタモギタケの撮影をする場合、
とにかく、早起きが必須!
おかずにしようともくろむ、
地元のおばちゃんとの激しいバトルを勝ち抜いて、
初めて美しい写真が撮れるわけです(笑)。
タモギタケは小さな虫に好かれているのか、
傘の裏側のヒダのまわりを、
コバエのような無数の虫が常に飛んでいます。
虫とも戦わねば!
虫だけに無視できません……。
失礼いたしました。