待望の雨。
7月の声を聞いて、しばらくして、
阿寒の森に、ようやく、雨らしい雨が降りました。
以前、きのこの専門家に尋ねたところ、
きのこ(子実体)の発生に影響を及ぼすのは、
10日から30日くらい前に降った雨なのだとか。
つまり、降雨の翌日に森を訪れたとしても、
それほどきのこが発生しているわけではない、
と思いきや、けっこう生えているんですよ、これが。
ただし、遠くからでも気がつくほどの、
10〜20cmくらいの大きさで傘と柄を持つ、
いかにもきのこ、というやつではなく、
しゃがんで地面を凝視して初めて気がつくような、
小さな小さなきのこたちがにょきにょき。
テレビのニュースになるような巨大きのこなどは、
きのこらしからぬその大きさもさることながら、
何もなかった場所に、たったひと夜で、
いきなり姿を現す驚異的な成長速度も相まって、
人々の興味をひくようなニュースになるわけで、
高さが2cmほどの小さなきのこであれば、
数時間でにょきにょき伸びてきても、
まったく不思議ではありません。
雨が降った翌日、
喜び勇んで森へと出かけ、
わくわくしながら歩き始めます。
すると、すかさず「きのこ目」が反応。
おお、あちこちに、いるわ、いるわ。
灰色や茶色の小さな傘が、地面に、コケの間に、
数えられないほどたくさん発生しています。
そんな中、真っ白な、かわいいきのこ発見。
コオトメノカサ、ですね。
オトメノカサに、形状的特徴はそっくりだけど、
やや小さいゆえの、コオトメノカサ、です。
夏から秋に、各種林地の地面から発生。
群生することもしばしばです。
全体的に真っ白。
傘は経1〜3cmほどで、
まんじゅう形、釣鐘形から平らに開きます。
しばしば中央部がへこみます。
傘裏のヒダは間隔が広く、
柄に向かってやや長く伸びています。
柄は長さ2〜6cmくらい。
中実から中空に。
食毒不明。
まあ、これだけ、小さく可憐なきのこです。
食べよう、などと思わず、
じっくり観察、鑑賞させていただきましょう。
それにしても、今年は、
きのこの発生時期が例年よりも早く感じます。
大雨の被害を受けている地方の方々には、
心よりお見舞い申し上げますが、
阿寒の森にはもう少し、というか、
まだまだ、たくさんの雨が必要です、はい。