きのこ、というと、やはり、
食料だと認識している方が圧倒的に多く、
もし、野外できのこを見つけた場合も、
興味があるのは、食べられるか、食べられないか、
食べられるとしたら、おいしいかどうか、ですよね。
きのこ=木の子、という意味だから、
植物の一種だと思っている方も少なくないかと。
スーパーマーケットなどでも、野菜売り場で、
いろいろな種類のきのこを売っています。
しかし、きのこは、
もちろん、植物ではなく、菌類です。
生物学的には、植物よりも動物に近い生物です。
きのこを食料とはみなさない、
いわゆる、ひとつの、きのこファンとして、
きのこの何に興味があるかと言えば、
まずは、何と言っても、見た目です。
100本きのこが生えていたら、
それがたとえ同じ種類だとしても、
100通りの個性があります。
これを、きのこファンは、
百菌繚乱(ひゃっきんりょうらん)などと言います……。
うそです!
われわれが「きのこ」と呼んでいるのは、
きのこ全体の中では、ほんの一部、
胞子をつくったり放出したりする生殖器官のこと。
正確には「子実体(しじつたい)」と言います。
植物で言えば、花と実が一緒になった感じかなあ。
きのこ=子実体がいろいろな形状をしているのは、
胞子の放出方法などの違いです。
基本的には、
風で胞子を飛ばす種類が多いですが、中には、
降雨を利用する種類、昆虫を利用する種類、
哺乳類を利用する種類なども。
興味がある方は、ぜひ、調べてみてください。
今回ご紹介するモミジタケは、
たくさんの柱が集まったような、
箒を思わせる、きのこらしからぬ形ですが、
風以外にも独特な胞子放出方法があるのかも!
さて。
モミジタケは、夏から秋にかけて、
針葉樹の林地から発生します。
バラバラの個体が密に生えているわけではなく、
柄があり、その上部で枝分かれしています。
柔らかい革質で、高さは2〜7cmほど。
先端は平ら〜広い幅で白色、
先端以外は暗紫色〜栗褐色です。
食不適。
無味無臭という説、
不快な香りだという説、
むしろいい香りだという説、
香りの評価が定まらないのですが、
(ぼくは土臭く感じました)
食べたところで、固くて、おいしくはなさそうです。
それにしても、きのこを見ていると、
あっという間に時間が経ってしまいます。
きのこを見て、身の回りの広い世界に思いを馳せる、
あるいは、
きのこを見て、自らの内なる世界=心に思いを馳せる。
そう、きのこ観察は、科学と哲学なんです、はい。