きのこの写真を撮るなら、
きのこの気持ちになるべし!
と、心ではいつも思っているものの、
実際に美しいきのこを目の当たりにすると、
職業病的に、構図がどうのこうのなどと、
人間的思考が頭の中の大部分を占領します。
撮影前、なるべくきのこの「視線」に近づくべく、
姿勢を低くして、這いつくばって、
きのこの周りをぐるぐるまわることは、
ちょっとだけ、きのこの気持ちがわかるような、
そんな気がするんですよね(笑)。
頭の中では、構図や露出を計算していても、
ふと、五感のどこかで、森の雰囲気を感じます。
地面に鼻が近くなっているから、例えば、
針葉樹林と広葉樹林の地面の匂いが、
まったく違うことに気づいたり。
森を渡る風の音も、
立って聞くのと、這いつくばって聞くのとでは、
けっこう違って聞こえたりします。
さて。
今回ご紹介する、
ウラグロニガイグチを見つけたときは、
コケに囲まれてふわふわして気持ちよさそう、
って思ったんです。
はっ!
これって、きのこの気持ち!
いやいや、
ぼくの頭の中でつくりだした妄想ですね……(笑)。
それはそうとして、
ウラグロニガイグチは、夏から秋にかけて、
ブナやミズナラなど広葉樹の林地に発生します。
傘は半円形のちまんじゅう形、経は5〜9cmほど。
表面は焦げ茶色〜暗赤褐色で、湿ると粘性を帯びます。
傘裏は管孔で、帯紫褐色。
柄は紫灰色で、高さ6〜9cm。
肉は淡帯紫灰色(図鑑にこう書いてあるんです!)で、
傷をつけると、傘裏と同じく極めてゆっくり暗色に。
毒。
古い図鑑には可食としているものもありますが、
体質によっては強度の胃腸系中毒を起こすことが、
明らかになっています。
どうぞ、ご注意を。
それにしても、
きのこの気持ちになるなんて、夢のまた夢で、
きのこには教えられることばかりです。
それが楽しいんですけど!
修行が足りないなあ……。