ぼくは、子どもの頃、
自分が生きているこの世界は、
どこまでが本当の世界なんだろう?
という疑問を持っていました。
いま、実際、目に見えたり、臭ったり、
聞こえたり、触ったりできるものは、
とりあえず存在していると仮定できるけど、
たとえば、いま、
自分の後ろ側には世界は存在しておらず、
後ろを振り向いた瞬間に世界が創造されている、と。
まあ、これって、
この世界は突然5分前に出現した、という、
哲学の思考実験「世界五分前仮説」と同じで、
悩めば悩むほど結論がでない、というやつで。
しかし、しかし、
きのこを好きになって、
きのこの生態やらを知るようになったら、
見えてないから存在してるかわからない世界も、
やはり存在していると思うようになりました(笑)。
我々がいわゆる「きのこ」と呼んでいるものは、
きのこの生殖器官である子実体のことであり、
きのこの本体は、地中や倒木中などに広がる、
糸状の細胞である菌糸なんです。
つまり、きのこの本体は、通常、
われわれの目には見えない存在なんです。
でも、その場所に、
きのこの子実体が生えているということは、
その下には必ず菌糸がいるわけです。
見えないけど、その存在は確実!
きのこも、きっと、世界も(笑)。
そんな、昔に考えていたことを思い出しながら、
秋本番を迎えてきのこの森と化している、
オンネトー(湖)のほとりの遊歩道を歩いていたら、
小さいながらも上品な薄紫色をした、
その名もウスフジフウセンタケを見つけました。
ウスフジフウセンタケは、秋に、
広葉樹の林地で発生します。
傘は経3〜8cm、開くとゆるやかな傘形に。
表面には粘性はなく、淡灰紫色〜銀白色で、
絹糸状のつやも見られます。
ヒダはやや間隔が広く、
淡い紫色から肉桂色に変化していきます。
柄は高さ5〜8cm、表面は傘と同色。
上部には蜘蛛の巣状の褐色の膜が残り、
それから下には外被膜の白い残片が付着します。
下部は棍棒状に膨らんでいます。
食不適。
触るとカサカサで、思ったよりもかなり軽く、
触感だけでも、このきのこはおいしくない、
と判断できるかのようです。
それにしても、
森できのこを見るだけでもこんなに楽しいのだから、
広い世界に目を向けたら、
どれほどのワクワクに満ちていることか。