晴れた日のことは「いい天気」、
雨が降っていたら「悪い天気」。
どこぞにお出かけするときは、
からりと晴れたほうがいいと思いますが、
まあ、考えるまでもなく、
雨が降らなかったら我々は生きていけません。
ふと、思うに、このところ、
いつの間にか、雨の日に森へ行くことが、
なんとなく億劫になっていました。
昔は、晴れても、降っても、
嬉々としてあるき回っていたのに……。
雨が降るとすぐに傘を差すぼくを見て、
オーストラリア人の友人は、かつて、
日本人ってそんなに濡れるのが嫌なの?
人間や服は紙じゃないから濡れても溶けないのに!
って不思議がっていました。
確かに、人は、雨に濡れて溶けるわけじゃないし、
濡れたら拭いたり着替えたりすれば済みます。
また、ぼくの愛用しているOM-1というカメラは、
土砂降りの雨の中で1日中ずっと使っていても、
雨が原因で壊れたことはありません。
と、いうことで、この秋は、
けっこう本降りの雨でも、億劫がらずに、
撮影に出かけることにしているんです。
いやあ、雨の森、素敵です。
濡れた木々の葉や草花は生き生きしているし、
空気もひやりとして透明感があって、
森全体がまるで別世界。
きのこにも水滴がついたりして、
美しさも倍増です。
コケの間から出る小さなきのこを撮影していると、
すぐ目の前にすっくと立っている立派なきのこ発見!
ショウゲンジです。
ショウゲンジは、秋に、
主に針葉樹林の地面から発生します。
傘は経4〜15cm。
半球形〜卵形からのちにほぼ平らに開きます。
表面は黄土色〜黄土褐色で放射状にしわがあり、
最初白くのちに帯紫色に変色する絹状繊維が付着。
傘の裏のヒダはやや間隔が狭く密集していて、
類白色から錆褐色に変化していきます。
柄は長さ6〜15cm、傘よりも淡い色。
触ってみると、固くしまっていて、弾力があります。
膜質のツバがあり、根本には不完全なツボがあります。
食。
歯切れがよく、爽やかな味わいなので、
いろいろな料理を楽しめる優秀な食菌です。
ちなみに、ショウゲンジという名前は、
性賢寺(正源寺)というお寺の僧が初めて食べて、
食用であることが知られるようになった、
と、江戸時代に記された「菌譜」にあり、
そこから付けられた名前なのだとか。
雨に臆することなく外へ出かければ、
雨ならではの素敵な光景に出会えることでしょう。
雨降りも「いい天気」です。