ご用心!食べられないんです!
ニオイアシナガタケ食不適

実は、自然を目一杯楽しむには、
ちょっとしたコツ?が必要です。
あ、でも、自然を楽しむに限らず、街歩きでも、
いや、世の中すべてで、同じだと思いますが、
それはズバリ、好奇心です。

好奇心とは、つまり、
未知なもの(こと)を、とことん楽しんじゃうこと。
そういう意味では、大自然の森には、
本当にいろいろなものがたくさんあります。
知らないものだらけです。

では、森で未知なもの楽しむにはどうするか?

ゆっくり歩くこと。
さらには、立ち止まること。
どうせなら、座り込んでしまいましょう。

ぼくの場合、
きのこや粘菌やコケなど小さな生物と会いたいので、
地面に顔を近づけるべく、寝そべる!
という荒業も……(笑)。

そして、見るだけではなく、
聴覚、嗅覚、触覚(そして味覚)など、
五感をフル稼働させること。
これが重要です。

つい先日。
北東北各地の山沿いでは雪が降って、
そろそろ今シーズンのきのこは見納めだ、
と思ったのだけど、思い切って、
十和田湖周辺の森へでかけてみました。

晩秋で、森の地面が大量の落葉で覆われていても、
四つん這いになって、落葉に目を凝らせば、
何かしらのきのこが見つかるんですよ、これが。

からからに乾いた落葉に手をつくと、
かさかさしゃかしゃかした音が聞こえます。
落葉の下の地面は先日降った雪のせいか水分が多く、
だんだん手のひらが湿ってきます。
やがて、乾いた枯葉の匂いより地面の匂いが優勢に。
なんか、ケモノになった気分です(笑)。

ブナの茶色い葉の間に点在する、
モミジの赤い葉にふと目をやると、その間に、
おお、小さいけどスマートなきのこが!
ニオイアシナガタケです。

ニオイアシナガタケは、秋から初冬にかけて、
林内の落葉や落枝から発生します。

傘は経0.5〜1.2cm、円錐状の釣鐘形。
表面は淡灰褐色で、中心部はより暗い色。
湿っているときには条線が見られます。

ヒダはやや間隔が密集していて、灰白色。

柄は高さ3.5〜9cm、細長く、灰褐色で、
根本に白い毛のようなものが見られます。

食不適。

まあ、ものすごく小さいですし、
名前の元にもなっているように、手で潰すと、
ヨードホルムのようなやや不快な匂いがします。

ブナの森の底で、
ひっそり生きている生きものたちの上には、
やがてたくさんの雪が降り積もり、
北国の長い長い冬が訪れます。

きのこが凍えちゃう! と思うけど、
外気よりは雪の中の方が温かくて快適なのかも。
胞子を遠くには飛ばせないけど(笑)。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。