きのこ、と言えば、
食料だと思っている人が圧倒的に多く、
きのこに対する興味は、
食べられるか、食べられないか、
食べられるきのこはおいしいかどうか、
である場合が一般的にはほとんどではないかと。
まあ、それはそれで仕方ありませんが、きのこを、
食べものとしてだけではなく、生きものとして好き、
という人も、徐々に増えている感じがします。
SNSなんぞを見ると、きのこの写真や動画も、
けっこうアップされているんですよね。
色や形や大きさや生えている環境は千差万別なので、
目の前に生えているきのこを、じっくり観察して、
あれやこれや考えながら撮影するのは、
そりゃあ、楽しいです、はい。
寒くなったり、雪が降ったりして、
冬の声が聞こえてくると、きのこファンの活動は、
どんどん鈍ってきます。
一気にきのこの姿が見えなくなりますから。
しかし、と思うんです。
そう、冬でも見られるきのこはたくさんあるんです。
今回ご紹介するカワラタケもそんなきのこのひとつ。
(写真の真ん中あたりにたくさん生えています)
多年生なので、1年中いつでも見つかります。
ぼくが思うに、カワラタケは、
日本でいちばん出会えるきのこではないかと。
森に限らず、公園や、畑の片隅でも、街路樹の脇でも、
切られるか折れるかして放置された木材があれば、
けっこう見つかるんです、これが。
しかも、四季を問わず。
カワラタケは、主に広葉樹の枯木、倒木、
あるいは、シイタケのホダ木などから発生。
多数重なり合って群生することから、
この名が付けられました。
傘は半円形〜扇形で、しばしば基部が細くなります。
革質で、経は2〜5cm、厚さは1〜3mm。
遠目には藍色〜黒色っぽく見えても、よく見ると、
灰色、白色〜黄色、褐色、帯赤色、帯黒色など、
けっこう様々な色で環紋を形成し、
短毛が生えています。
傘の裏側は、白色〜帯黄色で、
円形〜多角形の小さな孔(管孔)が集まっています。
柄はありません。
食不適。
固くてとても食用には向きません。
含有成分が抗がん剤になると期待されてましたが、
昨今ではその効能は薄いとされています。
木を分解していくにつれ白っぽくするので、
「白色腐朽菌」などと呼ばれていますが、
ある種のクワガタムシは、産卵するとき、
カワラタケが白色腐朽させた材を好むとか。
それはそうと、
この、カワラタケの美しさがわかる人とは、
ぜひ、菌友になりたいものです、はい。