国道103号で結ばれる、青森県の、
十和田湖〜奥入瀬渓流〜八甲田山麓は、
北海道の阿寒湖に次いで多く訪れているエリアで、
四季折々、いろいろな顔を見せてくれます。
十和田湖の美しい湖水。
断崖絶壁の底を緩やかに流れる奥入瀬渓流。
そして、各所で見られる、美しいブナの森。
魅力を挙げたらキリがありません。
とは言うものの、そのエリアは、
阿寒湖と同じく国立公園に指定されているので、
(特別保護地区もけっこうある!)
立ち入り禁止場所があったり、採集が禁止だったり、
行動の制約が多々あることも事実です。
しかし、まあ、そこは大自然。
行動に制約があろうが、観光客で溢れていようが、
隠花植物は豊富だし、いい絵になる場所は多いし、
大好きなエリアに変わりありません。
奥入瀬渓流館やホテルなどが立つ焼山地区から、
蔦川の上流方面に進んでいくと、まもなく、
明治の文人・大町桂月や、
あの、アントニオ猪木(家?)のお墓がある、
蔦温泉があります(ここの温泉は最高!)。
蔦沼といくつかの沼をめぐる遊歩道があり、
ここもブナの森を堪能することができます。
秋には紅葉狩りの人が多すぎて入場規制されるほど。
そして、その先をさらに進むと、
八甲田の山麓の至るところで見られるのですが、
ブナ、ブナ、ブナ!
若くて細いブナがびっしり!
ひょろひょろしたブナの木たちが、
やがて大木になるべく生存争いを繰り広げています。
四季折々、絵になること間違いなし、の場所ですが、
知らずのうちに、ぼくの「きのこ目」が発動して、
気がつけばきのこを探しているわけで……。
ブナのうろから生えているのは、
その名も、ブナシメジです。
ブナシメジは、秋に、ブナやその他の広葉樹の、
枯木や倒木などから発生します。
傘は経4〜15cm、表面は類白色〜灰褐色で、
中央部にはしばしば濃色の大理石模様があります。
傘の裏側のヒダは、間隔が密〜やや疏で、類白色。
柄は長さ3〜10cmで、傘と同色。
上下同大で、根本に軟毛がみられます。
触ると、傘も柄も弾力があり、ぷりぷりです。
食。
優秀な食菌で、かつては、
このブナシメジを人口栽培したものを、
「ホンシメジ」として売っていたこともあるほど。
未だに勘違いしている人がいるかもしれません。
どんな料理にも合います。
ちなみに、八甲田山麓で、
細いブナが林立して生えているのは二次林です。
かつて、放牧のためにブナを切ってしまい、
そのあと、時間が経って、再生してきた姿が、
今見られるひょろひょろのブナの森なのです。
自然はたくましくもありますが、
基本的には不可逆です。
今ある自然を大切にしたいものです。