ツバキキンカクチャワンタケは、その名のとおり、
植物のツバキと深い関係を持っています。
漢字表記は、椿菌核茶碗茸、です。
日本の山野に自生するツバキは、3種なのですが、
人の手によって数多くの品種がつくられ、いまや、
その総数は1300種を超えるのだとか。
基本的には、ツバキは暖かい地方の植物で、
我が北海道においては、南西部でのみ、
しかも植栽されたもののみ見ることができます。
ツバキの自生の北限は、青森県の夏泊半島。
通常、ツバキの花の季節といえばまだ冬真っ只中の、
2月くらいのイメージですが、ここでは、平年なら、
4月下旬〜5月中旬くらいに花が咲きます。
ツバキキンカクチャワンタケは、
ツバキが長年にわたって生育していて、
地表に落花が集積しているような場所で、かつ、
ツバキの花が咲く時期に発生します。
つまり、それぞれの地域によって、
見られる時期がけっこう変わります。
「茶碗」から柄が伸びている形をしており、
茶碗部分は、黄土色〜褐色で、径3〜18mm。
最初は茶碗形〜お椀形ですが、やがて平らに開きます。
柄は、茶碗部分と同色で、けっこう長く、
ときに、10cmになることもあります。
じっくり観察すると、茶碗の表面から、
ぶわっと放出される胞子を見ることもできます。
放出された胞子は、近くに落ちている花の上で発芽。
菌糸を伸ばして、花の組織を分解して成長し、
晩秋には真っ黒な菌核を形成します。
そして、ツバキが花を咲かせる時期になると、
その真っ黒な菌核から柄を伸ばし地表に姿を現します。
ひとつの菌核から順次複数のきのこが伸びるので、
大きさの差がけっこうあります。
食不適。
まあ、すごく小さいし、
触るとけっこう硬いし、
食べる気にはなれないのではないかと。
見つけたら、
きのこを逆光に透かして、辛抱に辛抱を重ねて、
胞子放出の瞬間の目撃者となるべく頑張りましょう!
ぼくは、今、青森にいるので、
4月になったらぜひ夏泊半島を訪れたいと思います。
ツバキキンカクチャワンタケ、見つかるかなあ?