不正解、食べられません!
アラゲニクハリタケ食不適

南国はもちろん、
東京でもサクラが開花しましたね。

ちなみに、正確に言うなら、植物学的には、
「サクラ」という植物は存在しません。
日本のサクラの仲間は、野生種で約100種、
園芸品種では200種強存在するとか。

でもって、サクラの代表種といえば、
とにかく、ソメイヨシノですよね。
淡い紅色の花々がぽつぽつ咲き始めたと思ったら、
すぐに樹木全体が淡白い光に包まれたような満開に。
そして、吹雪のように花を撒き散らす散り際。
サクラの花期はすべて絵になりますな。
たまりません。
日本の心っす。

と、ここまで書きつつ、
われわれきのこファンは、もちろん、
期待を裏切ることなく(誰が期待してるのか?)、
「花より団子」もとい「花より菌」です(笑)。

つまり、満開のサクラの花を見上げて感動しつつも、
気がつけば幹やら根本やらを凝視して、
きのこを探しているわけで……。

サクラの幹のイメージって、
ざらざら、つるつるって感じかもしれませんが、
よくよく見てみると、けっこう、
コケや地衣類が付着しているんです。
そして、古くなったサクラの木には、
我らがきのこもにょきにょき。
そう、隠花植物天国なんです。

今回ご紹介するきのこの写真を撮影したのは、
群馬県南部の里山です。
残念ながら、阿寒湖周辺では、
ソメイヨシノが生きていくには寒すぎるんですよね。

さて。
その、アラゲニクハリタケは、
春から秋にかけて、広葉樹の枯木から発生します。

傘は幅1〜3.5cm、奥行き1〜2cmの半円形〜貝殻形。
柄があることも多々あります。
表面は白っぽく、その名のとおりびっしり短毛が生え、
不明瞭ながら環紋も見られます。
触ってみると、皮のような質感です。

これまた名前のとおりに、
傘の裏側には長さ1〜2mmの「針」がびっしり。

食不適。

まあ、小さいし、固いし、
たとえ毒がないとしても、
食用にはまったく向かないかと。

アラゲニクハリタケは、
死にかけた樹木の「生き血をすする」きのこですが、
そこはまあ、自然界のことです。
きのこも今を生きる同じ地球の生きものだと思って、
大きな気持ちで、観察しようではありませんか!

食べられる生物がいれば、
食べる生物もいるってことです、はい。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。