ご用心!食べられないんです!
ベニチャワンタケ食不適

春が来ると、うきうきします。
外へ出かけたくて、そわそわします。

青森県は、酸ヶ湯温泉といえば、
日本有数の積雪量を誇る場所であり、
東京でサクラが満開になったり、
青森市内で積雪がゼロになったりしても、
同じ日本であることが奇跡のように、
まだまだ冬景色が続いています。

ただ、春が近づいてきていることは間違いなく、
今年2024年も、例年通り、4月1日から、
酸ヶ湯温泉から谷地温泉へと抜ける国道103号の、
冬季通行止めが解除(当分の間、夜間は通行不可)。
雪の回廊とも呼ばれる高さ5〜6mの雪の壁の間を、
車で走り抜けることができます。
(言葉を失うくらいの雪の絶景です!)

で、雪の回廊を通って奥入瀬渓流へ行き、
まだ、あちこちに雪が残る落葉広葉樹の森を、
長靴をはいてぐるぐる歩き回ると、ときどき、
雪を踏み抜いて腿までずぼっと埋まりながらも、
確実に季節が進んでいることに気づくわけです。

ほら、そこに、花はまだ咲いてないものの、
やや赤味を帯びたキクザキイチゲの葉っぱが、
落葉を押し除けて伸びています!
日当たりがいい場所では白い花がすぐにも開きそう。

でもまあ、きのこファンは、
やはり、いつ、いかなるときでも、常に、
きのこを探してしまうわけです……。

おっと、雪の下で越冬したと思われる、
オシダの緑色の葉っぱの下に何やら赤いものが。
近づいてみると、ビンゴ!
春のきのこ、ベニチャワンタケです。

ベニチャワンタケは、春に、
林内の腐朽材や落枝から発生します。

きのこは茶碗形で、径1〜5cmほどですが、
ときに径8cmにも及ぶことがあります。

「お皿」の内側は鮮やかな紅色で、
乾燥するとやや淡い紅紫色になります。
外側は、白色〜淡紅色で、
細かい毛にびっしりと覆われています。

通常、太くて短い柄が見られますが、
ときに柄を欠き「お皿」の裏側で基物に背着します。

食不適。

触るとカサカサでボロボロといった感じなので、
毒がないとしても、食べる価値はないでしょう。
モノトーンの冬から色づきの春へと移行する、
その真っ赤な姿を堪能しましょう!

ちなみに、
春に発生するのがベニチャワンタケ、
秋に発生するのがベニチャワンタケモドキ、
と昔の図鑑には記されておりますが、
ベニチャワンタケの仲間は、
まだまだ正確な分類が確定してないようです。

つまり、今のところ、
ベニチャワンタケ系のきのこを見つけたら、
ベニチャワンタケの仲間、
と言うのがベストかもしれません。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。