春になると、雪や氷に覆われた、
北国特有のモノトーンの世界から、
一転して、たくさんの色があふれてきます。
雪がとけたばかりの大地で目につくのは、
枯葉やら茎やら落枝やらいわゆる植物遺骸。
まだ草花は芽吹いてないなあ、
などと思わずに、
腰を据えて、じっくり観察してみると、
意外な発見があるものです。
本当に運が良ければ、ぼくが大大大好きな、
好雪性粘菌、ルリホコリの仲間が見つかることも。
高さ1〜2mmで球状の子実体に細い柄がある姿。
枯れた茎や枝の上で、群生しています。
雪どけの時期に姿を現すことから、
「好雪性」粘菌、と呼ばれているわけです。
とにかく、その美しさは、宝石級です!
倒木の上に生えているコケは、
この時期はちょっぴり元気がないような。
でも、いわゆる休眠状態なので、
暖かくなってきたらしゃきしゃきに復活して、
きのこにも似た胞子体をにょきにょき伸ばします。
そして、きのこはあきらめて、
地衣類でもいないかとそこらの倒木を見て回ったら、
望外にも、真っ黒なきのこ、ヒメキクラゲを発見!
春に見られる貴重なきのこです。
ヒメキクラゲは、春から秋にかけて、
種々の枯れた木材から発生します。
きのこは灰褐色〜黒色。
小さな球状で、多数生じ、
互いに融合を繰り返して不定形に拡大します。
表面は不規則に波打ち、
しばしば細かいイボに覆われます。
湿時に触るとぷるぷるしたゼラチン質ですが、
乾燥すると革状に固くなります。
これ、キクラゲの仲間に共通する特徴です。
食。
やわらかく、舌触りがいいです。
きのこそのものの味を楽しむというよりは、
きのこ料理フルコースをつくるときなど、
デザートとして使い勝手がいいようです。
雪がとけた大地は、
本当に、あっと言う間に、緑色が濃くなります。
春の植物の芽生えは、厳しい冬を過ごした身と心に、
じんじんと染み入ります。
フィールドに出るたびに緑が濃くなっていき、
ああ春が来たなあ、と、感動を新たにします。
ちなみに、この写真は、
群馬県西部で撮影しました。