泣く子も黙るゴールデンウイークです。
木々が伸ばした新鮮な葉っぱを透して、
緑色の太陽の光が森に降り注ぎます。
この時期は、1年のうちでも、
もっとも生命の息吹が強く感じられるし、
なにより、昼の時間がどんどん長くなっていくので、
森での滞在時間もどんどん長くなっていきます。
ただし、北海道の阿寒湖周辺の森では、
通常であれば、まだ、あちこちに雪が残り、
春の初めというより冬の終わりという感じなので、
きのこの発生も可憐な草花の開花も時期尚早。
つまり、
森歩きの楽しみがちょいと少ないので、
東北地方北部、青森、岩手、秋田、山形あたりの、
季節の進みが阿寒湖よりもちょっとだけ早い、
お気に入りの森をうろうろしています。
きのことの出会いを期待して、
いそいそと森を歩き回っているのですが、
春のきのこの姿は思いの外少なく、
カタクリやキクザキイチゲといった、
可憐な草花が目の前に群落をつくっていても、
ついため息をついてしまうのです。
今回ご紹介するオオワライタケの写真は、
八甲田山麓のとある沼のほとりで、
数年前の5月中旬に撮影したものです。
オオワライタケとの出会いとしては、
記録的に早い時期だなあ、と思ったものです。
(春が早くやってきた今年はどうでしょう?)
オオワライタケは、夏から秋にかけて、
コナラ、シイ、ブナなどの枯木から発生します。
(まれに針葉樹の枯木からも発生するとか)
傘は、径5〜15cmと、やや大型のきのこ。
表面はこがね色〜褐色を帯びた橙黄色で、
細かい繊維状の紋様が見られ、
半球形〜まんじゅう形からほぼ平らに開きます。
ヒダは密にぎっしり並んでいて、黄色のち明るい錆色。
柄は長さ5〜15cm。
根本が太く、傘よりも淡い色で繊維状。
上部に淡黄色で膜質のツバがあります。
毒。
肉は淡黄色で、強烈な苦味があります。
致命的ではありませんが、誤食すると、
食後5〜10分で、ふるえ、寒気、めまいなどの症状が。
多量に食べると、幻覚、幻聴を伴う、
精神の異常興奮、狂騒状態になることも……。
このとき、ゆるんだ口元が笑ったように見えることが、
「ワライタケ」の名前の由来なのだとか。
毒成分の詳細はまだ分かってないようですし、
何でも、日本産種だけで、
5種類くらいに分類されるとかで、
まだまだ謎が多いきのこだと言えましょう。
ちなみに、
このオオワライタケを見つけた同じ年、
同じく5月中旬にツキヨタケも見つけたのでした。
きのこに発生時期を勘違いをさせるような、
何かの要因があった年だったのでしょうか?