きのこと言えば、茶色とか白色とか、
なんとなく、地味な色を思い浮かべる人が多いかと。
お店で売っている食用きのこがそうですね。
逆に、毒きのこをイメージさせるのは、
真っ赤とか、まあ、派手な色ではないかと。
そんなイメージからか、
地味な色のきのこは食用にできて、
派手な色のきのこは毒がある、というような、
迷信が広まってしまったのかもしれません。
きのこは、同じ種類だとしても、
個体差、あるいは、地域差がけっこう大きいので、
食毒判定、あるいは、種の同定を行う場合、
その地域に精通した専門家に習うのがいちばんです。
(ちなみにぼくは専門家では決してありません)
きのこの食毒を判断するのは、
研究者などプロでもなかなか難しいんです。
これは食べられる、これは毒、という感じで、
個々のきのこをひたすら覚えていくしかありません。
森できのこを探そうと思うと、やはり、
派手な色、大きなきのこがまず目につきます。
でも、森へ行く回数が増えると、確実に、
「きのこ目」も強化されるので、
徐々に地味な色のきのこも小さなきのこも、
目に入るようになってきます。
きのこきのこした形のきのこもいいですが、
きのこらしからぬ形のきのこと出会うと、
嬉しさ100倍です。
ある年の秋の終わり頃に、
白神山地のブナの森を歩いていたら、
倒木にきのこらしい物体を発見。
青色〜藍色を帯びています!
アオゾメタケです。
アオゾメタケは夏から秋にかけて、
広葉樹・針葉樹の倒木から発生します。
傘は半円形〜丸山形で、幅1〜6cm、厚さ0.5〜2cm。
表面は微毛〜粗毛に覆われており、
青みを帯びた白色で、のちに汚黄褐色に。
傘の裏側は小さな穴がたくさん空いた管孔ですが、
しばしば乱れて針状に見えることも。
肉は白色〜帯青色で柔軟ですが、
乾燥するともろくなります。
食不適。
まあ、見た目も、触った感じも、
食べたいと思うには無理があるかと(笑)。
きのこ界には珍しく青系の色なので、
じっくりじっくり観察・鑑賞しましょう。
アオゾメタケは変異が大きいので、
数種が含まれている可能性があるのだとか。
確かに、個体によって、
青色の種類と濃さがぜんぜん違います。
「書を捨てよ、町へ出よう」は、
寺山修司の有名な作品の題名ですが、
いま、ぼくが、本歌取をするなら、
「ネットを捨てよ、森へ行こう」かな(笑)。
読者の皆さん、雨に濡れた新緑が美しい季節です。
ぜひ、森へ行きましょう!
そして、ちょっとだけ、きのこを愛でましょう!