十和田湖東岸から流れ出した奥入瀬川の、
上流部14kmくらいが、いわゆる奥入瀬渓流です。
日本を代表する観光地であり、日本人はもちろん、
いつ、誰が言い出したのか定かではなりませんが、
「インバウンド」なる人々の姿も多く見かけます。
奥入瀬渓流は、
十和田八幡平国立公園の特別保護地区であり、
(阿寒湖のマリモの生息地も特別保護地区!)
国指定の天然記念物であり、特別名勝でもあります。
つまり、景勝地であると同時に、
豊かで美しい自然が守られている地域なので、
観光、あるいは、生物を観察・鑑賞するには、
動植物や菌類を採集しないとか、
立入禁止区域に足を踏み入れないとか、
しっかりとルールに従う必要があります。
まあ、ルールと言っても、
決して特別なことではなく、基本的には、
通常の良識で行動すればOKですが。
そんな豊かな自然の中で、
生き生きと生きているきのこを見るのは、
眼福と言うしかありません。
奥入瀬渓流と言えば知る人ぞ知るコケの宝庫ですが、
きのこだって負けちゃいません、はい。
国道102号を石ヶ戸休憩所から上流部に向かい、
整備された遊歩道を歩いていくと、古い木道を、
赤い胞子体を伸ばしたコケがびっしり覆っています。
その合間をよくよく凝視すると……。
きのこ発見!
小さいけどすらっと伸びた美しい姿のきのこ、
その名も、アシナガタケは、夏から秋に、
落葉樹林内の落葉、落枝、切株などから発生します。
傘は径2〜5cm、表面は平滑で灰色〜帯褐灰色、
放射状の条線が見られます。
最初は円錐形で、のちやや開いて中央部がやや突出。
ひだは淡灰褐色で、やや間隔があいています。
柄は長さ6〜12cm、上下同大で基部は根状で有毛。
傘よりは淡い色で、明らかな縦線があります。
食不適。
大きさからしても、見た目も、
とても食べたくなるような姿ではありません。
「きのこ界のモデル」のようなすらっとした姿を、
心ゆくまで鑑賞させていただきましょう。
それにしても、有名な観光地ともなると、
ルール違反をする人がいると、連鎖的に、
他の人を誘発する傾向があります。
たとえば、ロープを越えて保護地に侵入しても、
いい写真なんて絶対に撮れませんから!
最低限のルールはきちんと守って、
豊かな自然を残していきましょう!