さて。
今回ご紹介するきのこは、ウスベニミミタケ。
薄紅色した耳のような形のきのこです。
写真をよ〜くご覧あれ。
きのこの上方に何やら白い煙のようなものが、
ゆらゆらと立ち昇っています。
きのこ好きの良い子の皆さんなら、
もうおわかりですね。
そう、この湯気のような白い煙は、胞子です。
気が遠くなるくらいたくさんの胞子が、
風に舞い上がり、もしかしたら、成層圏にまで達し、
いろいろなところへ運ばれていくわけです。
きのこはすごいんですよ。
風に乗せて胞子を飛ばすわけですが、無風のときは、
きのこの表面についた水滴が蒸発することで、
空気流をつくり出して胞子を宙へ舞い上げるのだとか。
また、きのこは、
雨も自ら降らしている、という研究があります。
放出された胞子が大気中で雨の核となり、
それが雨を降らせる要因になっている、と。
風も吹かせるし、雨も降らせる。
これ以上無敵の生物がいるでしょうか?
さてさて。
ウスベニミミタケの話に戻ります。
夏から秋にかけて、広葉樹林内の地上に発生します。
きのこは長く耳状で、片側に短い柄があります。
縁は内側に屈曲し、基部には白い綿毛が見られます。
「耳」の内側はピンク色を帯びたアンズ色で、
その外面は、橙色〜橙黄色です。
ちなみに、胞子は、外側ではなく、
内側から放出されます。
食毒不明。
食べられそうな要素があんまり見当たりませんよね。
毒がなくても、きっとおいしくないのではないかと。
それよりも!
今回の写真をどうやって撮影したかというと、
お茶碗のような形をしているきのこに多いのですが、
息を吹きかけると、時間差で胞子が放出されるんです。
ですから、きのこに息をぶわ〜と吹きかけて、
カメラを構えて、胞子が舞い上がったところで、
パシャリ、とシャッターを切るんです。
これが、もう、楽しくて、楽しくて……。
いつまでも胞子放出シーンが撮影したくなる、
魔性のきのこだと言えましょう。