きのこ、と聞いて、ぱっと思い浮かべる形は、
お店で売っているシイタケとかマイタケでしょうか。
でも、シイタケとマイタケをよく見比べると、
まったく形が違うことに気づくかと。
シイタケは、傘と柄があって、
傘の裏はほぼ等間隔のヒダを持っていますが、
マイタケは、太い柄が分岐して、
その先に小さな傘が重なり合うように付き、
全体として大きな塊になっています。
傘の裏側も小さな穴がたくさん空いた管孔です。
そう、きのこは、
シイタケのように、傘と柄を持つ形が多いですが、
球形だったり、棒形だったり、珊瑚形だったり、
絆創膏のように樹木にぴったり張り付いていたり、
本当に、いろいろな形をしています。
(大きさもさまざまです)
なぜ、それほど、形に多様性があるかというと、
簡単に言ってしまえば、それぞれの形ごとに、
胞子の放出方法が異なるんです。
ちなみに、シイタケのように傘を持つきのこは、
胞子を風に乗せて遠くへ運ぶために、
傘の裏側からさらさらと放出します。
傘の形状は上昇気流を生むのに適しているのだとか。
ぜひ、きのこを見つけたら、
そのきのこの胞子放出戦略を想像してみてください。
例えば、球形のきのこは、
どうやって胞子を飛ばすのでしょう?
(答えはこちら)
さて。 今回ご紹介するきのこの、胞子放出戦略やいかに?
ヒメカンムリツチグリは、
夏から秋にかけて、針葉樹の落葉上に発生。
群生することもしばしばです。
幼菌は球形で、地中にいますが、
成熟すると地上に出てきて、
(ど、どうやって地上に出てくるの?)
外皮を4〜5片の星形に開き、さらに、
アーチ状に屈曲させて立ち上がります。
袋状の内皮には短い柄があり、
青灰色、帯黒色〜帯褐色で、
白くてとても細かな粒を帯びています。
「袋」のてっぺんには円座があり、
胞子を放出する孔の周りは繊維状になっています。
食毒不明。
これからの研究によって解明されるかもしれませんが、
まあ、こんなにも素敵な形のきのこですから、
見るだけでも十分に楽しいですよね。
ちなみに、
ヒメカンムリツチグリは、ホコリタケなどと同じく、
「袋」の中で成熟して、粉状になった胞子を、
外界の刺激を受けることで、ぶわっ〜と放出させます。
そして、そして、
手できのこの袋をつまんで胞子を放出させることを、
きのこファンは「胞子活動」と呼びます(笑)。