今日で2月も終了。
やれ、寒波だ!大雪だ!確定申告だ!
拙著「あした出会えるきのこ100」が重版出来だ!!
と、ばたばたしているうちに、
なんと、今年の6分の1が終わってしまった、と。
恐ろしいことです、実に……。
北東北は、まだまだ冬本番で、
あちこちに大量の雪が降り積もっておりますが、
3月の声を聞けば、
長く厳しく辛かった記録的大雪の冬を思い出しつつ、
命あふれる季節の到来を待つのみです。
森へ向かう途中、車を運転しながら、
ぼ〜っと眺める風景には、もうすでに、
春の色が混じっているんですよ。
ダケカンバの枝先の冬芽の赤色が、
ちょっとだけ目立つようになっていたり、
空の青に含まれる鈍色にもほんの少しですけど、
薄まって春っぽさが出ているような。
もうひと月くらいすると、
ブナの森にも目に見えて春がやってきます。
「根開き」「根明け」などと言われる現象ですが、
気温が上がってくると、ブナの根本の雪が、
幹を囲むように円状に溶けてくるんです。
そして、そして、
ブナの根本の地面が露出し始めると……。
はい、いましたね。
ブナの森に春を告げるきのこ、その名も、
ブナノシロヒナノチャワンタケ、です。
ブナノシロヒナノチャワンタケは、春に、
地面に落ちたブナの殻斗(かくと)から発生します。
殻斗とは、果実を覆う袋状の器官?のことです。
頭部は径3mm以内のお椀形から、
のちに、ほぼ平らに開きます。
表面は白色〜淡黄色で、
裏面と長めの柄の表面は、
白色の毛が密生しています。
食不適。
まあ、すんごく小さいきのこですから、
もし食べられるとしても気の遠くなる数を、
集めに集めなければならないでしょう。
それより、干からびたようなブナの殻斗から、
黄色の可愛らしいきのこが多数生えている姿は、
もう、きゅんとするほど可愛いです。
心ゆくまで鑑賞しましょう。
ちなみに、
なぜ、ブナの根本から雪が溶けていくのかは、
詳しくは分かってないようですが、
ブナの根が吸い上げている水の温度が雪より高い、
太陽光と雪の反射光が当たり幹の表面が加熱される、
という感じのシステムではなかったかと。
根本に大きな穴が空いたブナの森の眺めは、
北国の春ならではです。