出オチですから。キタンクラブの主宰、古屋大貴さんとお話しました!

シリーズ累計2000万個突破の
『コップのフチ子』を販売するキタンクラブ。
その主宰を務める古屋大貴さんをお招きして、
「キタンクラブ」と「ほぼ日」で、
どんなおもしろいことができるのか、
糸井とあれこれおしゃべりしていただきました。
「もしや、コラボアイテムの誕生か‥‥!」
なんて期待もあったのですが、
今回はちょっとタイミングがちがったみたいです。
でもね、この対談の最後には、
キタンクラブといっしょに
画家・石黒亜矢子さんの催しを開催するという、
うれしいアイデアがひとつ生まれましたよ。
笑いたっぷり、雑談たっぷり、
全6回分をまとめて一挙公開いたします!

出オチでいい。
糸井
最近、奈良の大仏のはなしを
みんなによくするんです。
古屋
奈良の大仏?
糸井
もしいま、あれくらいきれいに
大仏を彫れる人がいても、
なかなかつくれないと思うんです。
というのも、
どこに建てるとか、
どうご祈祷するとか、
いろんな宗教的な要素や
経済的な要素とか。
古屋
ああ、そうですね、
もういろいろかみ合わないとできない。
糸井
そういう多くの要素が
いまやることにおいても、
必要になってくると思うんです。
だから、おたくのフィギュアたちも‥‥。
古屋
はい、カプセルのなかの。
糸井
そもそもカプセルや
販売マシンを置く場所がなければ、
存在しないわけですよね。
古屋
ええ、そうですね。
糸井
奈良の大仏のように、
まわりの要素も含んでアートとするなら、
最近のぼくは
フィギュアをつくることよりも、
それをどうやって配るのか、
もし販売マシンがつかえなくても、
なにか別の方法はないだろうかと、
そういうことを考える人になればいいのかなぁ、
という意識なんです。
古屋
ああ、なるほど。そうなんですね。
糸井
古屋さんは、いまおいくつですか?
古屋
いま、42です。
糸井
だったら、まだしばらくは
そこまで考えなくてもいいのかなぁ。
ちなみに、これまでキタンクラブが、
どこかに負けそうになったことってあるんですか。
「おお、あぶねぇ」みたいな。
古屋
うーん、どうなんでしょう。
ぼくらの路線というのは、
なんとなくカプセルトイ業界のなかでも
できあがりつつあって、
いまのところ同じような色を
出せる人がいないんですね。
糸井
なるほどね。
古屋
なので、現状はそこまで
切羽つまった感じではないんです。
ただ、もし大きなところに、
ぼくらのような色を出す人が入ったときは、
あぶないかもしれないです。
糸井
古屋さんの本を読んでみて、
あらためていいなぁと思ったのは、
「出オチでいい」っていう話。
古屋
出オチ。
はい、そうですね。
糸井
いま世のなかに
「出オチ」を肯定できる人って、
あんまりいませんよね。
古屋
そうですね。
「最初だけよくても」というのはありますね。
糸井
カプセルトイって、
「永久に大事にしましょう」
というものじゃないですよね。
つまり、カプセルトイは
出オチというギャグであって。
古屋
そうです、ほんとギャグですね。
糸井
「出オチでいい」っていう話は、
すごくおもしろくてね。
3年前に読んだときは、
そこがピンときてなかったんです。
古屋
カプセルトイは
正面で向き合った瞬間に、
心をつかまないといけないので。
糸井
ぼく、出オチのこと、
解説できるようになったんですよ。
古屋
出オチを、ですか?
糸井
ビジネスデザイナーと呼ばれている
濱口秀司さんという方がいまして、
まあ、とにかくキレがいい人なんです。
その人と話をしたときに、
モノをつくるときは、
いちばん最初は条件がなにもないので、
いちばん自由度が高いというんです。
古屋
ああ、はい。
糸井
最初が自由度のピーク。
100どころか、100億の可能性がある。
反対に、モノが完成に近づいてるときは、
自由度はほぼ0に近くなります。
古屋
そうですね。
糸井
ふつう、モノをつくろうとするとき、
完成に必要なデータやアンケートを見て、
できるだけ完成に近づいてから
スタートしようとします。
つまり、自由度をかなり減らした地点から、
モノづくりがスタートするんです。
古屋
とくに企業はロジックで動きますからね。
糸井
これをつかう人は
どこどこに住んでそうな男で、
所得がいくらあって、
どういう趣味があって‥‥。
ということをはじめにワーッとやる。
そうやって自由度を減らした状態から考えるから、
誰がやっても同じものになるんです。
古屋
はあー、なるほど。そういうことか。
糸井
そこにクリエイティブはなくて、
あるのは窮屈なところから生まれた
完成度の高いものなんです。
ということは、本当にやるべきことって、
はじめの100億ぐらい自由度があるときに、
時間軸のグラフでいう、
はじめの2ミリぐらいの幅のところで、
たくさん考えることなんじゃないのかなと。
古屋
うんうん、そう思います。
糸井
で、キタンクラブの
「出オチですから」というのは、
まさにはじめの2ミリの話を
してるわけですよ。
古屋
まさにそうです。
ほんとそこをずっとやってますね。
糸井
ぼくも両方の意識を
持ちながらやってるつもりなんですが、
できるだけスタート近くに
いつでも戻れるようにしておかないと、
わざわざ自分がやる意味がないし、
自分がおもしくないものは、
やっぱり人もおもしろくない。
古屋
おもしろくないですね。
糸井
この説明ができるようになってから
古屋さんの本を読むと、すごくおもしろい。
冒険物語のようだけども、
「ああ、やっぱりこうなんだ」みたいに、
キタンクラブがやろうとしてることが、
よくわかるんです。
(あと2回つづきます!)
2017-09-21-THU




TOBICHI②では、
9月22日(金)からの3日間、
石黒亜矢子さんとキタンクラブの催し
「石黒家」を開催します!
石黒亜矢子さんが描く『ばけねこぞろぞろ』の
フィギュア発売記念企画としまして、
石黒さんとキタンクラブの催しを
TOBICHI②で開催いたします。
会場の二階を「石黒家」として、
石黒亜矢子さんの描く原画はもちろん、
夫でホラー漫画家の伊藤潤二さんの作品、
さらには石黒さんちの姉妹や、
猫たちにまつわる作品も多数展示しております。
また、二階の「石黒家」に対して、
会場一階は「キタン家」と名付け、
カプセルトイマシンをずらりと並べ、
キタンクラブの世界を
たっぷり味わえる空間をご用意いたしました。
青山墓地に隣接する、
TOBICHI②でお待ちしております!
石黒亜矢子×キタンクラブ
「ばけねこぞろぞろ」フィギュア
発売記念企画「石黒家」
会場:TOBICHI②

会期:2017年9月22日(金)~9月24日(日)

休館:無休

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