糸井 |
でも、たけしさんの目指す道が職人だとすると、
それは、チームプレーでつくる
映画とは矛盾するじゃないですか。 |
たけし |
ハハハハハ。
ウーン、それはねェ‥‥。
あのね、オレ、すっごいずうずうしいんだけど、
「北野武」とか、
「ビートたけし」っていうのが作品であって、
映画を見ることは、オレを見ることだ、
と思ってるような気がするんだよ。 |
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糸井 |
あーーー。 |
たけし |
だから、映画をどうこう言う前に、
「もっとオレがすごくなりゃいい」
って思うときあるよ。 |
糸井 |
はーーー。
それは、仏像そのものですね。 |
たけし |
ハッハッハッ、
ずうずうしいとは思うんだけど。 |
糸井 |
いや、そのずうずうしさって、
ほんとはあるんでしょうね、みんな。
つまり「オレがアートそのものだ」って
ほんとは言いたいんでしょうね。 |
たけし |
ウン。 |
糸井 |
はーー。それはすごい考え方だなぁ。
すると、失敗作っていうのも、
ぜんぜん、痛くもかゆくもない、
ってことになりますよね。 |
たけし |
そーだね。ただ、そこがまた、
お笑いやってた人間の危険なところで、
「失敗作がいいに決まってるじゃないか」
って言うわけさ。
「失敗がなきゃ、ギャグになんないもん」
って言ったりするわけ。 |
糸井 |
ややこしいね(笑)。 |
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たけし |
ややこしいこと言いだすんだ(笑)。
ただね、興行的なことでいうと、
外国で人気があって、
日本で人気がないっていうのは、
いちばんいい形かもしれないと思うね。
逆だったら、ソレ、
いちばんかっこ悪いだろうって思うから。
日本で有名で、外国で誰も知らねー、なんてさ。 |
糸井 |
ああ(笑)。 |
たけし |
粋さとかっこよさでいったら、
日本でダメで外国でうけてるほうが
いいに決まってるんじゃないっていう。
だから、よく、オレの映画は、
「世界じゃ有名だけど、
日本じゃ客が入らない」
って言われてるけど、
そっちのほうがかっこいいもん。 |
糸井 |
なるほどね。
みんな、過剰に言いますよね、
客が入らないってことをね。 |
たけし |
おかしいからね、ソレ。
でも、プロデューサーに言わせると、
それでも入ってるらしいよ。
「そんなに客が入ってないなら
つぎの映画、撮れませんよ」
って言ってるから。 |
糸井 |
ああ、それはそうですね。 |
たけし |
「毎回、毎回、そんなにだませませんから」
って言ってるから、
ちょっとは入ってるみたいね、お客さん。 |
糸井 |
(笑) |
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(つづくぞ、コノヤロー) |