COOK
ダイニング部に
集合してくださーい!

秋のわたし、
「アンニュイ」とか、
「おセンチ」とかいう
まったりした感じが
周囲にも、そーとーうっとうしい存在に
なりはじめていたので、
そういうの、やめました。
で、活発なわたしになろうと
エンジン掛けてみたところ、
これまた、エンジン壊れてたんですね。
今度は暴走が止まらない。
とんちんかんには手がつけられないですね。

ダイニング部長
ダイニング部・部長

秋も深まったこの時期、
やっぱりメインは『さんまの塩焼き』でしょう。
この焼いているときの臭いをかぎ、
そしてこれを食べないことには
秋を過ごしているとはいえないでしょう。
秋の夕暮れ、七輪(しちりん)に炭火、
さんまから脂がしたたり落ちて
「ぼっ」と火があがる。
立ち昇るけむりに目をしばしばさせながら
うちわでパタパタ。
くぅ〜、
日本人でよかったなぁ。って、
実はこういうの、テレビでしか
見たことないんだったわ。
残念ながら、
住宅事情ってやつでね。
でも、ダイニング部はやりますよ。
さんまを焼く本数が多いので、七輪というのは
ちょっとあきらめたんですが、
バーベキューコンロに炭火でジュウジュウパタパタをね。

さんまは夏から秋にかけて北から南へ
冬から春にかけてまた北に移動する季節回遊魚。
夏の終わり頃に北海道沖で
脂質含量の多いプランクトンをたっぷり食べて、
秋深まるころには、脂ギラギラになって
房総沖に泳いできます。
だから旬は、なんといっても「今」なんですね。
そして何より重要なのは
新鮮なおいしいさんまを選ぶこと。
聞いてきましたよ。魚の専門家に「目利きのポイント」を。
西田部長の『築地魚市場見学』にくっついていったんです。
すでに氷詰めになってはいるものの
「これぞ光りもの」って感じで銀色に光って
今にも泳ぎだしそうなさんまがいるいる。

●新鮮でおいしいさんまの目利き
「基本中の基本、まずは目が澄んでいること」
白く濁っていたり、充血してるのは鮮度がわるい。
「フンが黄色く、大型のものが脂ののりが最高」
フン? フンってあの金魚の
糞みたいにタラタラッと
長いあのフン?
いやいや、フン(吻)って、
さんまの長く突き出た口の
下唇のことを呼ぶのだそうです。
「うろこが銀色に輝いて、
身がピンと張りつめていること」
うろこはにげまどっているうちに
ほとんどとれてしまうけど、少しでも残っていれば
鮮度のいい証。
「腹切れがなく、しっかりしていること」
内臓飛び出てたら見た目もわるいし、
なんたって、さんまはあのほろ苦いワタを
食べてこそ、食べる楽しみがあるんですから。
おいしいさんまを選んだら、
焼く前にもうひとつポイント。
さんまを焼く1時間くらい前に、
30センチほどの高さから
軽くお塩をしておきます。
これで、余分な水気がとれ、生臭みもとれます。

さぁーて、深まる秋を満喫だわ。

『筑前煮』
鶏肉と野菜の煮物。
きっと、それぞれの家庭の味ってもんで、
おこのみで、好きなお野菜をたくさん入れれば
いいと思うんだけど、
今回はれんこん、たけのこ、ごぼう、にんじん、
干ししいたけ、きぬさやを使います。
大事なことは、火の通りが均一になるように
材料の大きさをそろえて切ること。
あとは、味付けのおしょう油は2回に分けて加えます。
これで、おしょう油の香りがグッと生きてきます。

ところで、幼稚園のときにならった
「にんじんさん、ごぼうさん、
あな〜の空いたれんこんさん」
って歌、知ってますよねぇ?
「おべんと箱のうた」みたいな名前の。
これは筑前煮のことなのかなぁ。と、ふと今思いました。

『おから』
先日の西田部「お豆腐やさん取材」のとき、
「おから」を買ってきて下さったんです。
味付けした『おから』って、
よくスーパーのお惣菜コーナーにならんでますよね。
わたし、作ったことなかったんですが、
「おから」の存在が目の前にあるいじょう
ダイニング部としては作らないわけには
いかなかったんですよ。
それで、味を思い出しながら作ってみたわけです。
吐き出すほどマズイものではなかったと思うんです。
きっと、「おから」を食べたことがない人に
「これが『おからよ』」っていえば、
「へ〜これが『おから』かぁ」みたいな。
でも、「おからもどきのもどき」って感じで。
社長部部長より「もう一度作ってみな」
という、やさしいとも厳しいとも言えるお言葉。
今回は敗者復活戦ってわけです。
おいしい「おから」を作るべく、
ダイニング部本日も奮闘しております。

1998-10-23-FRI

秋だからってことでも、
おセンチだからってことでも、
暴走が止まらないからってことでもないんだけど、
髪の毛を切ったの。
中学1年生のとき以来のショートに。
『ショート』ってよりは『段カット』だな。
「若くなった」「幼くなった」
って言われた。
きっとこれは、いい解釈をしていい方の評価
だと思うんですよ。
そう思いたい。
素直に喜びたいんだけど、これがね、
微妙なとこなんだなぁ。
そろそろ「若づくり」なんて言葉も
あてはまっちゃう年齢なわけですよ。
ホント微妙なんだけどね。

『さんまの塩焼き』

さんま

それにしても、「さんま」おいしかったぁ。
魚の専門家から伝授された
おいしいさんまの目利きのポイント
すべてをクリアしたギラギラのさんま20本を
鼠穴玄関先でジュウジュウパタパタやりましたよ。
ウワサどおり、炭火焼きは最高でした。
まず、ガス臭くないしね。
それに余分な水分と脂肪分が抜けるからなのか、
真っ黒に焦げたりしちゃっても、
すごくおいしかった。

1、さんまはよく洗って丸ごとか、
  せいぜい半分の筒切りにする。
2、30センチほどの高さから軽く塩をふって
  1時間くらい置く。
  (水気が取れ、生臭みも取れます)
3、できるだけ、強火の遠火で焼きます。
4、煙をなるべく魚に当てないように
  横からうちわであおぐ。
5、焼きたてに大根おろし、おしょうゆ、
  かぼすやすだちの汁をかけて。

さんまを焼いた道具

炭火焼きのさんまを食べちゃうと、
「炭火焼きの『さんまの塩焼き』
以外の食べ方は邪道だ!!」
と断言してしまいたいくらいの
気持ちだけど、
そう、もくもく煙を立てるわけにはいかない
住宅事情もあるわけで、
それもこの世の成りゆきで致し方ないか。
そういう方には、フライパンで焼いたり
ホイルで包み焼きという手もあります。

『筑前煮』
2回に分けて加えたおしょうゆの香りが生きていたし
みりんのいい「テリ」がでて、大成功でした。

筑前煮

1、れんこんを一口大の乱切りにし、
   6〜7分水にさらしてアクを抜く。
  干しシイタケをぬるま湯に30分ほどつけて戻し、
   軸を切って水気を絞る。
2、ごぼうをたわしでこすりながら
  洗って皮を落とし、
   幅1、5センチの斜め切りにして
  水から茹でる。
   沸騰してから1〜2分茹でて、水気をきる。
3、こんにゃくを水から茹でて、
   煮立ってからさらに5〜6分茹で、水にさらす。
  (これで、こんにゃくの臭みが抜けます)
  スプーンで一口大にちぎりとる。
  (包丁で切るより凸凹ができて味がしみこみやすくなるのです)
4、鶏のもも肉の脂肪を取り除き
  食べやすい大きさに切り分ける。
  ゆでたけのこと、にんじんを一口大の乱切りに、
  きぬさやのへたと筋を取って
  塩少々を入れた熱湯で2分ほど茹でる。
5、鍋を熱して、サラダ油を全体になじませ、
  鶏肉を入れて両面に強めの中火で
  焼き色をつける。
6、こんにゃく、シイタケ、ごぼう、にんじん、
  ゆでたけのこ、れんこんを、
  火の通りにくい順に加え、中火で炒め合わせる。
7、全体に油が回ったら、だし汁2カップを注ぎ、
  煮立ったらやや火を弱めて
  アクを取り除き、3〜4分煮る。
8、砂糖、みりん、酒を加えてから、しょうゆを加える。
  落としぶたをして、20分ほど煮る。
  (落としぶたをすると、少ない煮汁の蒸発を防いでくれるうえに、
   煮汁がふたに当たって、全体にムラなくいきわたります)

9、味を見てしょうゆを補い、全体に味をなじませる。
  煮汁がほとんどなくなってきたら強火にし、
  鍋底から大きく混ぜながら煮詰める。
  仕上げにきぬさやを散らす。

レンコンと部長

今回、筑前煮のお砂糖には「中ざらめ」を使いました。
ほんのりとした甘さがすごく良かった。
ぜひ、おすすめです。
それから、落としぶたについて。
昔ながらの木製のものは重すぎて
柔らかいお魚やお野菜を傷つけたり、
ふたに臭いがついてしまうので
アルミホイルとかオーブン用シート、
不織布タイプのペーパータオルがいいと思います。

『おから』
「もう一度つくってみな」
そのお言葉に答えるべく運命の敗者復活戦。
っとここまでいうと大げさだけど、
まあ、運命感じちゃうくらいの
プレッシャーでしたよ。
最近、若い人で『おから』を
作れる人って少ないんじゃないかな。
まず、食べる機会も少ないしね。
もともと、『おから』ってのは、
魚や貝のおいしい煮物の煮汁が残ったときに
「捨てるにはもったいないから」作る一品なんですって。
食べ物を大切にする心から生まれた食べ物なんですね。
今回は残念ながら魚介類の煮汁はなかったので、
即席であさり入りの煮汁を作ってみました。

1、あさりのむき身に塩少々をふって手で軽くもみ洗いし、
  殻のかけらなどがあったら取り除く。
  ざるに取って水をサッとかけ、水けをきる。
2、ちくわを縦半分に切って小口切りにし、
  干ししいたけをもどして、細切りにする。
  にんじんを千切り、ごぼうをささがきにして水につけ、
  アク抜きをして水けをきる。
  細ねぎを小口切りにする。
3、鍋にかつをと羅臼昆布からとっただし汁、
  にんじん、ごぼう、しいたけを入れて
  柔らかく煮、砂糖、酒、しょうゆで調味して、
  ヒタヒタくらいにしいたけの戻し汁
  を注ぐ。ちくわを加えて7〜8分煮、
  あさりを加えてひと煮立ちさせる。
  (あさりは煮えすぎると堅くなってしまうので、
    ふっくり感を損なわないように)

4、大きめの鍋にゴマ油を熱し、
  おからを加えて中火でホロホロになるまで
  ゆっくり炒め、酒少々をふる。
  3、を汁ごと加え、
  全体にしっとりするくらいまで煮て、
  細ねぎを加えて混ぜる。

おから

『おからもどきのもどき』の数十倍は
おいしくできたと思います。
「おいしい、おいしい」って言いながら
ご飯にたっぷりかけて食べて
下さってる方もいたしね。
これは復活できたってことでしょ。

『ほうれん草と帆立の和え物』  
1、帆立貝柱水煮缶詰の缶汁をきり、手でほぐす。
2、ほうれん草は、塩少々を入れた
  たっぷりの熱湯で強火で茹でる。
3、色が鮮やかになったら水にとり、
  根本をそろえて水けを絞る。
4、しょうゆ少々をふりかけて絞り、
  長さ3〜4センチに切る。
5、しょうゆ、かつおだし汁、レモン汁を合わせ、
  ほうれん草と貝柱を入れて
  ほぐしながら味をなじませる。

『ワカメと油揚げとお豆腐のお味噌汁』
1、鍋に水と頭とはらわたを取り除いた
  にぼしを入れ30分程浸して置く。
2、鍋を火にかけ、沸騰直前に火を止め、
  すぐに煮干しを引き上げる。
3、短冊に切った油揚げを入れて、
  ひと煮立ちしたら味噌を溶き入れる。
4、味噌汁を仕立てたところに、ワカメ、
  豆腐を入れてサッひと煮立ちさせる。

お豆腐の持ち味はなめらかさと、弾力性のある柔らかさ。
お豆腐を加熱して70度を越すと、堅くなってしまいます。
くれぐれも、お豆腐を入れてから沸騰させないように。

「わたし、イタリアンが好きなの」とかいって
毎食、パスタとか食べてたり、
パリジェンヌ気取って
フランスパンばっかりかじってたり
そんな時期もあったんですよね。
これは基本的に勘違いなんだけど。
でもね、やっぱり、
白いお米とさんまの塩焼きとお味噌汁とかいう
日本人ならではのものを食べるってしあわせだわ。

1998-10-28-WED

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