小林 |
ドラマがないのにドラマをやろうとしても、
ひきつってしまうと思います。
椅子の下に時空がひろがるとかいうのは、
もう、辛い。
それなら「ドラマがない」というところから
スタートすべきだと思うんです。
何かを捻出しなければいけないんじゃなくて、
しゃべっているなかに「もうドラマがある」と。
「今、殺意持ったろ?」
ということなんですよ。そこにはドラマがある。
こないだの音羽の殺人事件にしても、
殺人事件前日や、前々日はどうなのかと。
岩松さんの考えかたで言うと、
当日だけにドラマがあるというわけがない。
その日だけを突出して考えてしまうことで、
もっとほかの日にも複雑に抱えていたはずの、
いろいろなものが、考えられなくなってしまう。
ほんとはいっぱいあって、
それを見るほうが豊かだと思います。 |
糸井 |
そうだよね。
じゃないと「刺して殺して」というのだけが
ドラマになってしまうから。 |
小林 |
岩松さん場合は、
劇の場合でも、きいているやつにこそ
ドラマがあるっていう考えですから。 |
糸井 |
だから岩松さんものは、
見ていて油断できないんですよ。
どういうことになっているかを、
全部見てみたくなるから、
気をつけて、広角で舞台を見ているよね。 |
小林 |
それがほんとだと思うんですよ。
演劇って、しゃべっていない役者も、
ただ無防備で突っ立っているものではないし。
しゃべっている間に、
こっちでも何かがあるという残し方もある。
・・・ところで、みんなアクセスしてるかな?
これ、飽きてないかなあ?(笑) |
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メール、たくさん来てますよ。
小林さんは競馬の話をしないのですか、とか。 |
小林 |
競馬をやっているのは、ポーズだね。
何て言うか・・・やくざでいたい?みたいな。
ここのくだらないところで使う5万も
貴重なものを買う5万も、
等価なんだと意識したいんです。
普段はそうやって意識していないんだよ。
ほら、ぼくも、向上心あるひとだから。 |
糸井 |
その言葉の使いかたがわからない。
何が向上心だよ(笑)。
向上心をおさえるために、馬券を買う
・・・わかりました。 |
小林 |
いいものを買いたいというのが、ありますし、
いい女・・・これは、もういいや。 |
糸井 |
もう、もて終わった? |
小林 |
いえいえ、気持ちはあります。役者ですから。 |
糸井 |
たまに出るね「役者ですから」が。 |
小林 |
(カメラのほうを向いて)
ですから、アクセスください。
あ、ろくでもない女が来るかも・・・
・・・いや、そんなことないですけど
・・・何で俺はここでことわりを入れるんだよ(笑)。 |
糸井 |
これで「優しい」とか言われるよ。
ところで、シブいって呼ばれるのは、
どういう気持ち? |
小林 |
俺、シブいって言われてるの?
それ嫌だな。誉め言葉なのかなあ?
でも、いいとは思わない。
自分のなかで持っていたいのは、
浮遊感と言うか、
お前、その歳になっても、
全然地に足ついてないよ、みたいな。
(つづく) |