KINDER
ガキの頃は、バカだったなぁ。

(10月20日)

・電車の車掌さんに手を振るお話がありましたが、
 我が家の前の線路は、地下鉄が
 地上から地下に潜る(または上がる)場所で、
 その入り口の脇のフェンス越しに立つと
 ちょうど運転手さんからみえるようなのです。
 うちの小僧も、いちど見に行くと
 夕焼け空が暗くなるまで手を振り続けております。
 手を振ってもらえると
 「がんばってね〜!」などと声を上げ、
 たまに警笛を鳴らしてもらうと
 金網の模様のついた顔で小躍りして喜んでます。
 振ってもらえなかったりすると、
 「……」とさびしげに無言で見送っている小さい背中。
 見ていてほほえましいです。
 そんな電車に乗れるときは大喜び。
 大人のつもりで私の切符を手に持ち、
 ホームの最後尾に立って待ちます。
 入ってきた電車の運転手さんに手をふり、
 そして、最後尾の車掌さんに挨拶するためです。
 ニコニコと手を振り替えしてくれる車掌さんは、
 時々、車内から運転席が見えないようにする
 カーテンを大きく開けてくれ、
 息子は大喜びで電車に乗っている間じゅう、
 最後尾からの景色を見ています。
 この車掌さんも、幼い頃に
 こうしてもらっていたのかもなあ、と思いながら、
 我が子の将来に思いをはせる瞬間です。
 (さとさと)

・子どもの頃、
 発熱のたび決まったヘンな夢をみました。
 鋭い目つきのパンダが、それぞれロケットに乗って
 月面で、地球まで競争だと無理強いします。
 パンダのロケットは最新鋭。
 私のは遊園地でコインを入れて乗るようなヤツです。
 乗るときは下唇を上唇の上に重ねた顔で
 乗るのが決まりで、地球に着くまで
 口を決して開けてはいけない。
 勝負は最初から見えています。
 勝負に勝たねば家に帰れない。
 おかしな顔して泣きながら
 うなされている私を見る度、母は
 不安にかられ医者に毎回相談していたそうです。
 目つきの悪いパンダ・・今思えば心当たりがあります。
 誕生日プレゼントだったパンダのぬいぐるみをある時、
 近くの川で落としてしまったのです。
 大人に頼めば拾えたかもしれませんが、
 叱られるのが怖くてできませんでした。 
 子どもなりに良心の呵責があったんだと思います。
 (和子)

・幼稚園ぐらいの時、弟と生まれて初めて
 レコードを買いに行きました。
 二人で相談して、大好きな「マジンガーZ」にしました。
 ドキドキしながら、さっそくレコードをかけたところ
 声は同じだけど、歌が全く分かりませんでした。
 そう、何故か英語バージョンを買ってしまったのです。
 その頃は分けも分からず、唯一聞き取れる
 「マジンガーずぅえ〜っと!」の所だけを二人で
 一緒に歌い、少しせつなくなっていました。
 (モカッチャ)

・下校中にウンコがしたくなる人って結構いるんですね。
 中学生の頃、電車通学だったのですが、
 私もよく下校中に便意をもよおしていました。
 住んでいた所が田舎で街灯も少なく、
 変質者が出ることもあったので、暗くなった時は、
 駅から家に電話して
 親に車で迎えに来てもらっていました。
 しかし、明るい時もよく
 「ウンコ行きたくなった」と電話していました。
 「まあそりゃ大変。迎えに行ってあげるわ」
 という母の言葉を期待しながら。
 しかし、母は冷静に、これから準備して
 迎えに行ってウチに着くまでの
 時間を計算していてくれたのか。
 それともそのくらいのことで迎えに行くのが
 バカバカしかったのか
 (今思い返すと後者が正解かも)
 決してその理由で来てくれたことはなかった。
 いつも「まあそう。頑張ってね」と言われて
 電話を切られていた。
 走ると内臓も揺れて刺激されるし、
 ゆっくり帰るにはもどかしいしで、
 いつも自分の身体に振動を与えないよう気を使いながら、
 競歩の選手のような歩き方で帰っていた。
 (ペリーニョ)

・今日ビスケットを食べてて思い出しました。
 小さいころよくどうぶつの形をしたビスケットが
 おやつにでたんですけど、
 かわいいどうぶつのビスケットがかわいそうで
 食べれなかったんです。
 わにとかライオンとかだったら
 平気でぱくっといってたのですが。
 今日食べたのはひよこ形でした。
 わたしって、成長しちゃったんだなぁ・・・。
 (oriya)

・小学校に上がる前だったと思います。
 イトコのお姉さんが、
 白い紙にたくさん動物の絵を描いてくれました。
 それがたいそう気に入った私は、
 その絵を大事にしていたのですが、
 ある日、何を思ったのか、1つ1つの動物を
 ハサミで丁寧に切り抜いてしまいました。
 そして全部の動物を切り抜いたところで、
 突然悲しい気持ちになり、
 一人でワーワー泣いていました。
 その声を聞いたのか、母が部屋に入ってきて、
 なぜ泣いているのかを尋ねました。
 なぜって聞かれても、
 自分でもよく分からなかったのですが、
 とりあえず、「だって、切っちゃったんだもん」と
 泣きつづけました。
 母は同じ白い紙に、
 切り抜いてしまった動物たちを見ながら、
 イトコの描いてくれた絵を
 スラスラと、また書いてくれたのでした。
 子供の目には、まったく同じものが
 再生されたように見えて、
 腹水が盆に帰ることがあるという事実と
 そんなすごい事のできる母の偉大さに
 ものすごく衝撃を受けました。
 (なお)

(ミニコメント)


とんでもない無知とわけのわからない行動の合間に、
ちょっとしたホロリものが入ってくるのが、
この、ガキばなしの醍醐味なんですよね。
電車の車掌さんと子どもの交流、なんか、いいなぁ。

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2003-10-19-SUN
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