ひびのこづえさんのプロフィール   ひびのこづえさんと ものづくりのはなしを。   2001年の冬、当時まだどこにもなかった 「おしゃれなハラマキ」を ほぼ日がつくりはじめてから10年。 節目となるこの年に、 ひびのこづえさんにデザインをお願いできたことは、 ほぼ日のハラマキチームにとって おおきな経験とうれしさになりました。 ハラマキの制作を振り返りながら、 「ものづくり」のおはなしをあらためて ひびのこづえさんからうかがいます。 聞き手は、ほぼ日ハラマキの提案者・糸井重里。 ほぼ日ハラマキの担当者・ゆーないとも同席です。ひびのこづえさんと ものづくりのはなしを。   2001年の冬、当時まだどこにもなかった 「おしゃれなハラマキ」を ほぼ日がつくりはじめてから10年。 節目となるこの年に、 ひびのこづえさんにデザインをお願いできたことは、 ほぼ日のハラマキチームにとって おおきな経験とうれしさになりました。 ハラマキの制作を振り返りながら、 「ものづくり」のおはなしをあらためて ひびのこづえさんからうかがいます。 聞き手は、ほぼ日ハラマキの提案者・糸井重里。 ほぼ日ハラマキの担当者・ゆーないとも同席です。
 
やっぱり自分で描かないと。 2011-11-11
もっと生意気なことを考えようよ。 2011-11-12
新潟の工場は、すごい。 2011-11-13
自分の絵が好きじゃないんです。 2011-11-14
お客さんとは、もっと親しい。 2011-11-15
グリーンスムージー。 2011-11-16
ハラマキは、ハラマキです。 2011-11-17
こづえさんから、お願いがひとつ。 2011-11-18
ひびのこづえさんと
ハラマキ工場に行ってきました(前編)
2012-08-07
ひびのこづえさんと
ハラマキ工場に行ってきました(後編)
2012-08-08
 



糸井 ひびのさん、
今回はハラマキのデザインで
いろいろお世話になりました。
ひびの こちらこそ。
なんだか、すみませんでした、
わがままばかり言ってしまって。
糸井 ええ? そうなんですか?
そんなにひどいわがままを?(笑)
ひびの ええ、ちょっと(笑)、
ものづくりの上でのわがままを。
糸井 いやぁ、おもしろかったんですよ。
ひびのさんがおっしゃる、
そのわがままの部分が。
チームみんなで、刺激を受けちゃって。
きょうはそのあたりの話も。
ね?
ゆーないと はい。
一同 よろしくお願いします。
ゆーないと 製品サンプルがきょう、あがってきました。 
一同 わー(拍手)。
ゆーないと もう、すばらしいです。
ひびの ちゃんと柄も出てますね。
糸井 すごいな、この迫力は。
ゆーないと ちなみに、こちらも迫力の原画です。
糸井 そうそう、これ。
この原画を最初に見て
すごい! って思ったんだけど、
真っ先に言ったのが、
「これ、ハラマキで再現できるの?」って。
ゆーないと そうでした。
すごく細かく描かれた原画だったので、
感動しながらも
みんなでそれを心配したんです。
ひびの 工場では苦労をされた‥‥のですよね。
ゆーないと 工場の「白倉ニット」さんは
かなりがんばってくださいました。
糸井 すごいな、白倉さんの技術は。
もはやプリントみたいじゃないですか。
2色の糸を編んで表現するわけだから、
この原画を
まずはドット画にするわけですよね。
ゆーないと そうです。
この「ある一日」の、
点描のような緻密さなどは、もう‥‥。
糸井 考えるだけでもたいへんだ。
ひびの いや、でも、あの‥‥
最初の打ち合わせでいただいたのが、
「美術館」というテーマだったので。
ゆーないと そうでした。
ひびの それはどう表現すればいいんだろうと考えて
わりと迷いながら思いついたのが、
「違ったタイプのいろんな作品が
 美術館に展示されている」
というイメージだったんです。
ゆーないと なるほど‥‥。
その美術館のなかに、
「点描の絵」があったわけですね。
ひびの そう。
ゆーないと 「ある一日」は、
ほんとうに手描きでテンテンテンって、
描かれていますよね?
ひびの ええ、そうです。
ゆーないと 細かく描くのは、
たいへんなことではないんですか?
ひびの いや、そんなに‥‥。
糸井 へっちゃら?
ひびの ‥‥でも、ここまで描き込んだものは、
過去にないかもしれないです。
考えてみれば。
糸井 ああー。
つまり、「こうしたい」と思いついたあとで、
気がついたら自分自身がその命令に従って、
細かい仕事をやり遂げてしまった、という。
ひびの はい(笑)。
糸井 やるしかないですもんね、だって。
ひびの ええ、ええ。
糸井 アシスタントのいない劇画漫画家のように。
ひびの (笑)
糸井 リアルな背景までぜんぶ自分で描く、みたいな。
ひびの ですね。
こればかりは、人に頼むと違っちゃうんで。
糸井 そうですよね。
ひびの やっぱり自分で描かないと‥‥。
あと、自分で描いた方がたのしい。
糸井 うん。
なんて言うんだろう‥‥
ぼくはこの原画を最初に見たときに、
「あー、こづえさんという人は、
 自分でやるのがほんとに好きなんだなぁ」
と思いました。
ひびの そうですね。
分業できるといいんですけどね。

ただ、その意味では今回はじめて、
この「アニマル迷彩」を
うちのスタッフにやらせてみたんです。
糸井 ほぉ。
ひびの テイストを守りたいので、
なかなかそういうことをできなかったんですけど、
そろそろ大丈夫かなって。
このハラマキでやってみました。
ゆーないと そうだったんですね、初耳です。
ひびの 話し合って、方向性を決めて、
図案を描きはじめたんですけど、
複雑な柄だから、ふたりで頭が混乱して、
「どこがどうなってるんだ?」みたいな。
糸井 この柄はそうなると思う。
だって迷彩じゃないですか(笑)。
ひびの そうなんですよ(笑)、
で、ふたりで混乱しながらも
「これで大丈夫だよね」となったので、
デザインをお渡ししたら
「白倉ニット」のかたから‥‥。
糸井 うん。
ひびの 「なんか‥‥線が足りません」って。
一同 (笑)
ゆーないと あとで、あわてて線を足したんですよね。
ひびの そう。
糸井 もう一回、言いますけどね、
はじめてスタッフの人といっしょにやる柄が
「迷彩」っていうのは混乱します(笑)。
ひびの はい(笑)。
糸井 でも、途中経過はどうあれ、
これも魅力的ですよ。
すべて含めて、こづえさんの作品だと思います。
いっしょにやってる人は似てきますから。
ひびの そうですね、
仕上がりは問題ないんです。
ただ‥‥
自分ひとりで描いていたら、
「線が足りません」は、なかったと思って。
人が描いたものを見ると、
理解するのにすごく時間がかかるんです。
糸井 ああ‥‥。
ということは、
「分業するんじゃなかった」みたいなお気持ちに?
ひびの そうなんですよ。
一同 (笑)
糸井 いや、文章の場合もそうです。
いろいろ人と話し合って、
ためになることもたくさんいただくんだけど、
最後は自分で書くしかないんです。
ひびの そうなんですね。
糸井 最後の帳じり合わせは自分にしかできない。
矛盾とかも考えながら、
微妙なところをグイッとふんばって、
ぜんぶを細かく調整して合わせられるのは、
これ、自分でやるしかないんですよね。
ひびの そう、そうなんです。
糸井 おもしろいなぁ‥‥。
のっけから、おもしろいです。
  (つづきます)

   

2011-11-11-FRI


 
ほぼ日ハラマキ あたためるもののお店。