ひびのこづえさんのプロフィール   ひびのこづえさんと ものづくりのはなしを。   2001年の冬、当時まだどこにもなかった 「おしゃれなハラマキ」を ほぼ日がつくりはじめてから10年。 節目となるこの年に、 ひびのこづえさんにデザインをお願いできたことは、 ほぼ日のハラマキチームにとって おおきな経験とうれしさになりました。 ハラマキの制作を振り返りながら、 「ものづくり」のおはなしをあらためて ひびのこづえさんからうかがいます。 聞き手は、ほぼ日ハラマキの提案者・糸井重里。 ほぼ日ハラマキの担当者・ゆーないとも同席です。ひびのこづえさんと ものづくりのはなしを。   2001年の冬、当時まだどこにもなかった 「おしゃれなハラマキ」を ほぼ日がつくりはじめてから10年。 節目となるこの年に、 ひびのこづえさんにデザインをお願いできたことは、 ほぼ日のハラマキチームにとって おおきな経験とうれしさになりました。 ハラマキの制作を振り返りながら、 「ものづくり」のおはなしをあらためて ひびのこづえさんからうかがいます。 聞き手は、ほぼ日ハラマキの提案者・糸井重里。 ほぼ日ハラマキの担当者・ゆーないとも同席です。
 



ドット画に変換されたひびのこづえさんのイラストは、
およそ20分をかけて1枚の布に編まれました。
その後、ていねいな検品にかけられて‥‥。
ハラマキが完成するまでには、まだまだ工程があるとか。
すこしだけ急いで、
つづきの作業を教えていただきましょう。
▲編み上がった1枚を持って、移動します。
白倉 では、次の工程に進みましょう。

(全員で、別の部屋へ移動する)
ほぼ日 ‥‥ここは、暑いですね。
白倉 そうですね、蒸気をつかう場所なので。
クーラーもないし、夏場はきついです。
ひびの 蒸気をつかうんですか。
白倉 熱をかけてゴムを縮ませるんです。
桑原 やってみますね(台にハラマキをのせる)。
ほぼ日 この工程はひびのさん、見どころです。


一同 おおーー。
ほぼ日 何度見ても、すごーい。
ひびの こんなに縮ませるんですね。
白倉 この製品は、
ポリウレタンが入っています。ゴムですね。
ほぼ日 肌に触れるところはすべて綿素材だけど、
糸の中心にゴムがあるんですよね。
白倉 はい。
そのポリウレタンに熱を加えて縮ませます。
それによって、
あのハラマキの伸縮性がうまれるんです。
桑原 縮ませたものを、洗濯します。
ひびの ここで、洗濯を。
桑原 家庭用の洗濯機と違って、熱を加えて洗うので、
ここでもさらに縮むんです。
白倉 で、洗い終わったものが、こちらです。
縮める前のものに重ねてみると‥‥。
ひびの ああー、これはわかりやすい。
白倉 あ、下の「クレイジーフラワー」は、
S+10ですね。
ほぼ日 でもSサイズですから横幅は同じですよね。
それがここまで縮む。
‥‥逆に言えば、
下のサイズくらいまで伸びるということですか?
白倉 あまり無茶に伸ばすと傷みますけど、
そうですね、だいたいこのくらいまで伸びます。
で、いったん伸びても、
洗えばもとに戻ります。
ほぼ日 そう、それが助かるんですよ。
「ほぼ日ハラマキ」の大きな特徴です。
白倉 はい。
というわけで、
ここまでできたら、
次はこれを持って縫製工場へ向かいます。
ひびの 縫製は別な場所なんですね。
白倉 はい。
「ファッション原」さんという
縫製屋さんにお願いしています。
「白倉ニット」から車で10分くらいの場所にある、
縫製工場へとわれわれは向かいました。

こちらが、「ファッション原」さんです。
▲みなさん集中してミシンに向き合っています。
▲ひびのさんの「ドロップ」を縫製しています。
「ドロップ」の場合は、
縫い目に柄が重なっていないのですが、
たとえばこの「アニマルハート」は、こんな具合。
この、つながりを合わせる、
「柄合わせ」がたいへんな作業なのだそうです。
ズレてしまったときは、ぜんぶほどいて縫い直すとか。
きれいに縫い合わされています。
「これで完成ですか?」と訊ねたら、
「まだまだですよ」というお返事が。

縫製工場での工程を順に教えていただきました。

・地縫い
 柄合わせに気をつけながら、まず縫い合わせる。

・ロック
 巻くようにしてきっちりと、かがり縫いをする。

・かん止め
 ロックをかけたときに余りがはみ出るので、
 縫いつけて余分な布を切る。

・タグ止め
 品質表示の織りネームを縫いつける。

・二本針
 縫い合わせた部分が立っているので、
 これを片側に倒して、寝かせて、縫いつける。
 二本の針で縫うから、二本針。

・かん止め
 仕上げに再度、縫い目がほどけやすい箇所の補強や
 余り布を始末して、完成。

この工程を動画にまとめました。
よろしければご覧ください。


縫製だけで、これだけの手作業が重ねられていました。
「ほぼ日ハラマキ」の、あの肌ざわりは、
縫製技術のおかげでもあったのです。
突起物をできるだけおさえているから、ごろごろしない。
縫製の工程を終えて、
再び「白倉ニット」へ戻ってきました。
縫い合わされたハラマキを持って、
先ほど蒸気をあてた暑い部屋へ入ります。
白倉 縫製が終わったハラマキは、
ほんとうなら「セット屋さん」のところに行きます。
ひびの 「セット屋さん」というのは?
白倉 ハラマキをきれいにたたむ、
その工程をやっていただくところです。
ひびの その工程だけを、別な会社で。
白倉 はい。
きょうはちょっと時間がないので、
その工程をここでお見せしますね。
「枠セット」などと、呼んでいる作業ですけど‥‥。


白倉 蒸気をあてて、
バキュームで吸って、
これでセット完了。
一同 へええーーーー!
ほぼ日 きれい!
白倉 縫製のときにすこし伸びたりしたものが、
これできれいになります。
ほぼ日 なるほどー。
白倉 そして、セット屋さんでセットされたものが
またうちに戻ってきて、
袋詰めをして、最後にもう一度、検品。
それで、ハラマキの完成になります。
(ひびのさんに手渡す)
ひびの ああー、いい感じ。
いい手触りです。
ほんとに長い、完成までの長い旅路でした。
白倉 そうですね。
ほんとはもっと長くて、
きょうご案内した工程の前に、
「糸作り」「撚糸」「染め」もあるんです。
ひびの すごいですね、すばらしいです。
いいお仕事を見せていただきました。
ありがとうございます。
白倉 こちらこそ。
桑原 ありがとうございました。
工場見学のあと、新幹線の時間に間に合う時間まで、
みんなでミーティングをしました。

お互いの希望、
できることと、できないこと、
こうなったらもっといいのにという両者の想い。
そういうことをきたんなく、
でもおだやかに話し合いました。

「ほぼ日」と「白倉ニット」さんとのつながりは、
かれこれもう10年を越えます。
▲奥の男性が「白倉ニット」の社長さんです。
次回、冬の「ほぼ日ハラマキ」でも、
ひびのこづえさんの新作が登場する予定です。
どうぞおたのしみに!
(特別編の終了です)

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2012-08-08-WED