My恋歌ポイント
動き始めた汽車の窓に顔をつけて
君は何か言おうとしている
この歌は、なんとなく聞いていて好きでした。
ただあくまでそれは、ふつうの曲としてでした。
この春までは。
私は大学進学に伴い、
関東から雪国へ引越しをしました。
東京駅から新幹線で行くことを
高校で片思いだけど
ずっと好きだった女の子に話をしたら、
「私、お見送りに行く!」
と言ってくれていました。
きっと冗談であろうと思っていたら
出発前日にメールが来て、
明日行くからね! とのこと。
前日の夜は実家を離れる悲しさと
彼女に対してどのようにしようか
考えて眠れませんでした。
当日は彼女と別の女の子の二人が
見送りにきてくれました。
楽しく高校の思い出などを語ると、
あっという間に出発の時間が迫ってきました。
場所は東京駅、新幹線ホーム。
私の視線の先には好きだった彼女。
ここで思いを伝えるのは
僕の自己満足でしかない。
私は大学卒業後のしばらくは
地元に戻らない決意をしていたので
近くで彼女を見ていてあげることもできない。
結局言わない決意をしていたのだけれど、
いざ車内にのり、のり口から彼女を見ていると、
思わず思いを言葉にしてしまいそうに‥‥。
そのつぶやきは、ドアが閉まると同時だったので
彼女には聞こえていないので良かったのですが、
涙が目から流れてきました。
涙を流し、新幹線の車内から
ぼんやり外を眺めていると、
隣の老婦人が話しかけてきてくれました。
見ず知らずの人である事をいいことに、
洗いざらい話してしまいました。
すると、
「まるで『なごり雪』のようね」と‥‥。
窓の外は越後湯沢の雪景色、
私はいつの間にか
『なごり雪』の「君」になっていました。
歌詞はあくまで文章でしかないのですが、
それと似た体験をしてしまうと
もうただの歌詞には見えないものですね。
『なごり雪』は私にとって
特別な曲になりました。
後日談ですが、
このとき見送りに来ていたもう一人の女の子は
ずっと私のことが好きだったようで、
後日告白されました。
一人暮らしをはじめて、
心がずたずただった私には
その言葉を断ることはできませんでした。
今も、『なごり雪』を聞くと、
心にちくりととげが刺さります。
きっと一生そうでしょう。
私の好きだった彼女は私のことを
どう思っていたのだろうか‥‥
言わなかったのに今こうなってしまったのは
どうしてだろうか‥‥。
今でも頭の中をぐるぐるしています。 |