いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

脇役はもういや。
主人公になりたいと心から思いました。
(投稿者・みーさん)

『主人公』
 歌/さだまさし

『私花集
(アンソロジィ)』
収録曲

 
1978年(昭和53年)

My恋歌ポイント

 自分の人生の中では
 誰もがみな主人公

15才の秋、彼を一目見たとたん
「あ! 私この人と結婚するんだ!」と
ドキドキしてしまったあの日。
赤い糸だと思いました。

名前も年も、何をしてる人かも知らない人でした。

少し経って、彼が10才も年上であること、
彼女がいて、結婚も考えているらしいこと、
いろいろわかってきました。

それでも、どうしても諦めきれず。
想い続ければ、いつか私の心が届くと信じ、
なんとか彼の視界に入ろうと思って、
引っ込み思案だった私が、必死で存在をアピール。

ようやく視界には入って行けたものの、
彼の存在を気にすれば気にするほど、
彼が彼女と仲良く歩く姿を何度も見るはめになり、
やはりこの想いは通じないのだと。

さださんの「主人公」を聴きながら、
脇役はもういや。
私は自分の人生の主人公になりたいと
心から思いました。

まだ若かった彼が、
「僕は30までは結婚しない」と言うのを聞いて、
彼と同い年だった彼女が、
なんだかちょっと可哀想になり、
私の思いを断ち切る為にもと、
彼に手紙を書きました。

「女の人は 一番きれいな時に
 一番好きな人と結婚出来るのが
 一番幸せな事だと思うのです。」

涙で送った手紙の意味が、彼にどのように
伝わったのかはわかりませんが、
彼はその後しばらくして彼女と別れ、
私の彼になりました。

‥‥あれから30数年。
私はしっかり自分の人生の主人公として歩いています。
彼は‥‥あれからしっかり私の人生の脇役です。

いただいたメールを読んでいると、
ときどきあまりにも思わぬ展開に
ひっくり返りそうになることがあります。
ということを、
このときに書きましたが、
この投稿も、まさにそのタイプ。

最後の数行を読んで、
大きくひっくり返りそうになりました。
いやぁ、事実ってすごいわぁ。

同じく。
私もひっくり返りそうになりました。

15才の秋から、
とても長い月日。
25才の人との赤い糸。

事実は小説よりも
なんと気の長く、
なんとドラマチックで、
なんとすごい。

バックに
「主人公」をかけて
もういちど投稿を読んでみました。
やっぱりすごかった。

もう、この投稿の、というか、
事実の迫力に愕然とするばかりですけど、
なんていうの?
ちょっと、怖さがあるんだよね、この話。
そこがすごく魅力的。

その意味では
「恋歌口ずさみ委員会」でも
「ほぼ日の怪談」でもOKだという
希有な投稿ではないかと。

いや、おそれ入りました。

いやー、たしかにおそれいった!

‥‥ということはさておき、
『主人公』はぼくも好きな歌です。
さださん、わりと日本的な情緒のある歌詞世界を
得意としていたいっぽうで、
こういう無国籍、
どこかわからない外国のムードの
世界をつくるのもほんとうにじょうずで。
「地下鉄」を「メトロ」と、
「喫茶」を「テラス」と、
「鈴懸並木」を「プラタナス並木」と読む。
そして「62番のバス」「古い広場」なんて言葉に
よくわからないながらに中学生男子は
フランス? パリ? みたいに
遠くヨーロッパを思っておりました。
あと「勿論」という漢字はこの歌詞で覚えた。

『異邦人』って歌も(久保田早紀じゃなくてね)、
わりとこの系列。
「アパルトマン」「マロニエ通り」
「洗濯物の万国旗」「エトランゼ」。

ついでに言うとグレープの
『フレディもしくは三教街』は
戦時下の中国の租界が舞台ですけど
やっぱりヨーロッパの香りがするんですよ。
「揚子江沿いのバンド(土手)」「人力車夫」
「フランス租界」「三教街のケーキ屋」
「アームチェア」「おじいさん」
「ヘイゼルウッド」「鐘に十字」。

さあみなさん気になったら
探して聴いてみよう!

2011-08-31-WED
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