My恋歌ポイント
どうぞ幸せになってほしいなんて
しおらしい女じゃないわ
(中略)
かかとを鳴らして見返すつもりよ いつか
この歌がヒットした当時、
私は田舎の中学生だったので、歌詞の内容は、
単にアタマで理解しているだけでした。
主人公の気持ちを、
自分の感情と重ねて実感できたのは、
大学生になり、
初めてのめり込んだ本格的な恋に、
自分でケリをつけたときです。
地元の県立高校を卒業して、
都会の大学に入学し、一人暮らしを始めた私は、
ひょんな偶然から彼と出会いました。
私より10歳以上年上の、社会人。
高校卒業後はガテン系の職場で働きながら、
趣味で音楽を続けていた彼は、
私の周囲にいた大学の男の子達のような、
単に「勉強ができる」のとは違う、
生きていくうえでのタフさと、
頭の良さを持った人でした。
私はあっという間に彼に惚れ込み、
彼も私に興味を持ってくれました。
でも、私は本気でも、
彼はあくまで「興味」止まり。
気まぐれに電話を掛けてきては、
私を飲みに誘い、
帰りにはたいがい私の部屋に寄り、
泊まっていきました。
でも、その行動は、
彼にとっては愛情表現ではなく、ただの遊び。
そのことは、私自身にも
よーくわかっていました。
遊び相手は、私に限らず、
他にもきっといるんだろうな、ということも。
それでも、私は
“彼が私に興味を持ってくれる”
だけで嬉しかったのです。
彼にもっと「面白い」と思ってもらえる、
個性的な人間になりたくて、
いろいろな音楽を聴き、映画を見て、本を読み、
“自分らしい生き方”を模索して、
必死にあがきまくりました。
今にして思えば、
なんともひねくれた、ヘビーな初恋でした。
そんな状態は、約2年ほど続いて終わりました。
きっかけは、彼が
私の友人を“彼女”にしたことです。
私はずっと“遊び相手”のままだったのに。
さすがに、私もこの状況を
許容することはできませんでした。
その事実を知った日、私は一人で
ハードロックの流れるバーに入りました。
そして、ロックンロールがガンガン響く中、
ぼろぼろ泣きながら決意しました。
「あの二人に幸せになってほしいなんて、
そんなこと絶対に思うもんか!
いつか必ず彼に
“お前、いい女だな”って言わせてやる」
まさに「ふられ気分でロックンロール」でした。
その後、私と彼はしばらく音信不通でしたが、
私が社会人になり、彼が彼女と別れた後、
またどちらからともなく連絡を取り合い、
たまーに、一緒に飲むようになりました。
お互いに結婚もした今では、彼はもとより、
私の中にも恋愛感情はまったくなく、
どんなことも遠慮なくさらけ出せる
“特別な友人”になっています。
そうなってようやく、彼は私に
「お前、いいね」と言うようになりました。
いまさら遅いわ! と思いつつ、
でも、若い頃の私が子ども過ぎて、
彼が本気になれるような女ではなかったことは、
自分が一番よくわかっています。
いろんな意味で、子どもだった私を
オトナにしてくれたのは、彼でした。
どうもありがとう。
また機会があったら飲もうね。 |