いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

あの頃も今も、北海道の空の下で、
母は変わらず私を心配し続けてくれているでしょう。
(投稿者・ぺんは29歳)

『秋桜』
 歌/山口百恵

 1977年(昭和52年)
 

My恋歌ポイント

 あれこれと思い出をたどったら
 いつの日もひとりではなかったと
 今更ながらわがままな私に
 唇かんでいます

「くちずさみ委員会」が始まって以来
このコンテンツが大好きで、
ダンナと2人で、
よくYou Tubeで昔の歌を聞くようになりました。

先日も、あれもこれも、と聞いているうちに、
さだまさしさんの「秋桜」にたどり着きました。

「この曲いいんだよー」
なんてダンナに薦めながら、
すらすら歌える自分に驚きました。
これは、母の、まさに
「くちずさみ曲」だったんです。

母は、くちずさみ委員会の世代よりは上の世代です。
でも、いつも何かしら歌をくちずさんでいて、
洗い物をしながら、料理をしながら、
アイロンをかけながら、歩きながら、
その時々に思い出す昔の歌を
鼻歌まじりに歌っていました。

小、中、高、18年間、
母の鼻歌とともに育ってきた私には、
その歌達が染み込んでいるのでしょう
(「いい日旅立ち」も歌えました)。

あの頃、いい歌だなぁ、くらいの感覚でしか
聞いていなかった歌。
それが、今回、凄まじいまでの実感を伴って
聞こえてきました。

私は今、結婚して東京にいて、
実家は北海道にあります。
大学進学のために家は出ましたが、
北海道内にいましたし、
やはり結婚で家を出るのと気持ちは全然違います。
今は飛行機のおかげで、
とても行き来しやすくなっていますが、
それでも困っているとき
すぐに駆けつけることのできる距離ではありません。
また、私は手のかかる問題児で、
いつも母に心配をかけてばかりでした。
先に姉が結婚していて私が後だったこともあり、
結婚式の母は、それはそれは寂しそうでした。
   
今回、聞き直しながら、
ダンナにばれないように、
こっそり涙を拭いました。
いや、ばれていたのかもしれませんが、
彼は何も言いませんでした。

結婚して3年がたち、結婚生活にも東京にも慣れ、
北海道を離れたあの頃の気持ちを忘れかけていました。
でも、あの頃も今も、北海道の空の下で、
母は変わらず私を心配し続けてくれているでしょう。
   
きっとこれからも、この曲を聞くたびに、
北海道を離れる時の母を、
申し訳なさと切なさと
寂しさともに思い出すんだろうなぁと思います。

このコンテンツがなければ、
こうして思い出すこともなかったかもしれません。
それだけでも感謝しています。
さだまさしさんの方でも良かったのですが、
母の好きな山口百恵さんの方で
投稿させていただきました。
あのちょっと寂しい声が好きです。
長文で失礼いたしました。

わぁ、こういう「恋歌」もあるんですね。
お母さんからの伝承曲。
なにしろいまから34年前のヒット曲です、
(ぺんは29歳)さんが知る由もない。

“洗い物をしながら、料理をしながら、
 アイロンをかけながら、歩きながら、
 その時々に思い出す昔の歌を
 鼻歌まじりに歌っていました。”

って、すてきだなあ。
しかも、(ぺんは29歳)さんが今
すらすら歌えるってことは、
お母さま、かなり正確だったってことですよね。

秋桜は「コスモス」と読み、
さだまさしさんが山口百恵さんのために
書き下ろした曲です。
当時の百恵ちゃんって、
「横須賀ストーリー」や
「イミテイション・ゴールド」みたいな、
なんていうんだろう、
ちょっと影のあるロック系歌謡曲の
印象が強かったから、
「嫁ぐ前の母の様子と娘の気持ち」
を描いた「秋桜」を歌ったときは
ちょっとびっくりしました。

母の鼻歌が染みこんでいる、
そんな伝わり方があるんですね。
この時代の歌はそういうところが
すごいと思います。

この「秋桜」、そして
(ぺんは29歳)さんがはっきり歌えた
「いい日旅立ち」。
両方、娘の立場からみた親への歌とも
いえるんですよねぇ。
「秋桜」はさだまさしさん、
「いい日旅立ち」は谷村新司さんの
作詞作曲です。
そのふたりの提供歌のテーマに
くしくも重なる部分があったのは
なんとなくわかる気もします。
百恵ちゃんが
お母さんや故郷を歌う歌、すごくいい。

その2曲を、娘がはっきりと覚えるくらい
いつもくちずさんでいたお母さん。
いつか娘ふたりが離れることを
予期していたお母さん。
遠くからでも、いまもきっと
娘さんたちを思っていらっしゃることでしょう。

親には面と向かっては言えないけど
「ありがとうの言葉をかみしめながら」
生きていくしかないなぁ、と思います。

このジャケットの百恵ちゃん、
すごくかわいいんだよなぁ。
当時から大好きでした。

奇しくも、『いい日旅立ち』には、
「母の背中で聞いた歌を 道連れに」
という、そのものずばりな一節があります。

母のくちずさみ歌が自分でも
意識せずくちずさめたということも
いいなあ、すごいなあと思ったのですが、
当時はただの歌として感じられていたものが
いまの自分の現実と重なったというのは
ほんとうにすごいことですね。

なんというか、
歌というものの強さを痛感します。
こういった、
世代を超えてリアリティーを持つ
普遍的な歌に出会えるというのは、
幸せなことなんだなあと。

つけ加えると、
この投稿におけるダンナさんは
ちょっとした助演男優賞ですね。

おっと、久々の4番手。
なるほど、こりゃあもう、
書くべきことを探すのがたいへんですね。
それでもちょっと書いてみます。

「秋桜」の歌詞を
あらためてゆっくり読んでみました。
さだまさしさんが描く風景、
あたたかいです、やさしいです。
ひとつひとつの言葉選びが、もうすばらしい。
一行ごとに、心のどこかを
キュッとやわらかくつかまれるような、
そんな、心地よい切なさを感じます。
さすがは(というのも妙な言い方ですが)、
当コンテンツ誕生のきっかけとなったアーティスト。

(ぺんは29歳)さんの投稿にも、
同じような心地よい切なさを感じました。

“ご主人とふたり、
 YouTubeでたまたま聴いたその曲は、
 お母さんのくちずさみ歌だった‥‥”

もしも「秋桜」が『秋桜』という邦画になっていたら、
(さださんの詩はとても映画的ですし)
この投稿の設定は
『秋桜2011』のようなものだと思いました。
で、そうだわ‥‥
助演男優賞は、ご主人だわ。

それでは、また。

想い出ひとつみつけたら、
曲といっしょに投稿してくださいね。

2011-12-09-SAT

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