いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

どうしてか、私は彼に
「好き。」とは言えません。
(投稿者・おばかさんよね)
『女はつらいよ』
 二階堂和美

 2011年(平成23年)
 アルバム『にじみ』収録曲
 

My恋歌ポイント

 ああ、あなたが好きですと
 言えぬままに二度とは逢えぬ

20代前半の女子が、
今年音源化された歌を送りつけるなんて、
くちずさみ委員会の趣旨をかなり逸脱しているというか、
頭から無視してしまってますね。すみません。
しかし、二階堂和美さんの歌ならば、
くちずさみ世代の方々にも
共感して頂けるのではないかと思いまして、
メールをしたためました。

付き合いはじめて、
もうすぐふた月が過ぎようとする彼がいます。
恥ずかしながら、人生で初めての恋人です。

これまでの2ヶ月、けんか一つしませんでした。
とにかく、優しいひとなんです。
私が仕事で遅くなる日は、
駅に迎えに来て、家まで送ってくれます。
そして、ことあるごとに「好きだ。」と言ってくれます。

なのに
どうしてか、私は彼に「好き。」とは言えません。

彼に対して、思慕の情を抱いているのは確かです。
寂しかったり、くたびれていたりする夜は、
「会いたいなあ‥‥」と、涙ぐむこともあります。

しかし、そのようなもろもろの感情を
「すき」という二文字に変換してしまうのは、
なにか適切ではないと思うのです。

彼が「好きだ。」と言ってくれるのは
(いささか照れくさいにせよ)嬉しいことです。
なので、私が言葉で示さないのは、
フェアではないような気がするのです。
彼も、やや気にしているようで、
「どう思ってるの?」「何を考えてるの?」と、
ためらいがちに訊いてきます。

でも、口に出さないだけで、
何も想ってないわけではないし‥‥。
というか、言葉で伝えなきゃダメなの?
いや、そもそも本当に彼を好きなんだろうか?

そんな堂々巡りの思考に疲れたとき、
にかさんの柔らかい声をふと思い出しました。

「ああ、あなたが好きですと
 言えぬままに二度とは逢えぬ」

そう、いつもそうなのです。
おくてな私は、片思いをしていても、どこか本気になれず、
会えなくなってから強烈な恋しさを感じるたちなのです。

今は両想いで、そばに居られます。
でも、いつ逢えなくなるか分かりません。
震災があったおかげで、
別れについて、よけいに考えてしまいます。

離別にせよ、死別にせよ、別れはいつか必ずやってくる。

そのとき、きっと私は泣きながら、
素直な思いで「好き!」と言えるでしょう。
でも、そばに居るあいだに
ちゃんと言わないと意味はないわけで。

なんで

なんで、言えないんだろう。

目を細めて見つめる眼差しや、
髪を撫でる手のあたたかさが、本当に愛おしいのに。

いつか、言えるでしょうか。
言いたいなあ。「そのとき」の前に。

おお、これは去年の歌。
最新記録更新です。
いまの歌に疎い、委員会4人で話したのですが、
満場一致で二階堂さんのこの歌は
「くちずさめる恋歌」である
ということになりました。

そういう歌って、
最近の歌のなかにもありますよね。
わかりやすくいうと、
あのころこの歌が発売されてたら
たしかにぼくらは口ずさんでいただろうな
と思えるような歌。

いただいた投稿は、
二階堂さんの詞が乗り移ったかのような、
あの歌にぴったりの雰囲気。

最後のところの二行、
「いつか、言えるでしょうか。
 言いたいなあ。『そのとき』の前に。」
なんて、二階堂さんが
ライブのMCとかで言いそうな気さえします。

恋をしているときの気持ちって
自分でも不可解なんだけど、
ちゃんとつきあってて
別れるなんてこときっとない!
と思っているのにもかかわらず、
やっぱり未来には別れがあるかもしれないと、
そのひとがいなくなっちゃったあとの自分を
リアルに想像して、
そこから過去を見るみたいに
今に思いを馳せて涙ぐんじゃう、
そんなことがありますよね。

そんななか、「好き」ということばも
そんなに簡単に言えるものじゃないと
ぼくはつよく思います。
もちろん言える人もいると思うけど、
言えない人もいるに決まってる。
そういうタイプの人はたぶん
言うより言わせるほうが得意なんですよ。
言うことと言わせることは
きっと同じことなんですよ。
もしかしたら言うことと言わないことも
同じかもしれないですよ。
おたがいがいくら好きでも
つきあうことはできないってこともあるわけで、
そういうふたりの間にある言葉は
けっして「好き」ではないかもしれないけれども
そこにあるものはやっぱり「好き」、
だったりするわけだし。

ところで(おばかさんよね)さん、
いいペンネーム!

言うことと言わせることは
同じことかぁ‥‥
長いつきあいの先輩から
いいことを聞いてしまいました。
そうかもしれないよなぁ。

自分で「好き」なんて
面と向かって伝えた記憶、やっぱりないです。
ありがとう、とか、
そういうとこすごいね、とか
笑ったりとか、
彼のいないところで「気に入ってる」と
よその人に話したり、そんな程度です。

いっしょにいる時間があって、
いっしょにすごしたいという雰囲気があれば
それだけで好きな気持ちは伝わると思います。

だけど、彼はやや不安なんですよね。
そこがポイントだ‥‥でも、
いいんじゃないでしょうか。
わかってるはずです。
わからんことないでしょう。
そんなもん聞いてくるな、と
ぴしゃりと言ってあげましょう。
そのひとことで
「愛の告白は以上おわり」でいいと思います。

でも、やさしい彼で、しあわせですね。
読んでいてうれしかったー。
どうぞ、ずっとなかよしで。

「好き」ということばは
そんなに簡単に言えるものじゃない
ということについては、
まったくもって武井さんの言う通りだとぼくも思います。
それが言えないことはちっとも悪いことじゃない、と。
「好き」はことば以外でも伝わると信じたいです。

というようなことを、武井さんの書き込みに
引き継ぐ感じで書いていたら、
スガノさんもそういう感じで書いていた!

‥‥いや、あのですね、4人で書くここの原稿は、
社内の掲示板におのおのが書き込むような、
そんなシステムで毎回つくられているんです。
なのでときどき、書く内容が互いにかぶります。
今回はスガノさんとかぶっちゃったので、
ちょっと書き直したりしているわけです。

どうでもいい情報でした、話を戻しましょう。

「好き」はことばで言わなくてもわかる、
という考えに、ぼくも一票。
でも‥‥
「いつか素直に言いたいなぁ」
という(おばかさんよね)さんの、
気持ちもとても純粋ですてきだと思います。

すみません、一貫性のないコメントで。
‥‥でも、ゆれる。
ゆれてしまうんです、恋愛に関する考え方って。

それはそうと、二階堂和美さん!
個人的に、『にじみ』は去年のレコード大賞で、
渋谷で永田さんと観た二階堂さんのライブは
昨年のマイベストステージでした。
「ほぼ日」でもご紹介したこのページに、
『女はつらいよ』のPVがあります。
ぜひぜひぜひ、何度でもご覧ください。

40代のためのコンテンツとしてはじめましたが、
もう、いまや、世代の垣根を越えていると思われます。
あらゆる世代のみなさま、どうぞ投稿を。

それでは。
土曜日にお会いしましょー。

2012-02-08-WED

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