いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

女の子が好きという気持ちに
正直になることにしました。
(投稿者・みしゃまん)
『楓』
 スピッツ

 1998年(平成10年)
 

My恋歌ポイント

 これから 傷ついたり 誰か 傷つけても
 ああ 僕のままで どこまで届くだろう

恋愛といえば、男女でするもの、というのが大多数だし、
だからそれが「普通」だと思ってきました。
当時15年ぐらい前は、今以上に、そういう雰囲気でした。
だから、女の子が好きになっても、
友達として、親友として、
それ以上の何かを期待することもなく、
いつも恋の相談にのったりしていました。
でも、好きすぎて、その気持ちのもっていきようがなくて。
でも、彼女のことがそんなに好きだということを、
相手にわからせては、ひかれる、だからできない、
と、思っていました。
だけど言葉で言わなくても、毎日のように電話したり、
彼女のことを気にしているのは
相手に伝わらないわけがない。
それなのに私は、「好きなのは○○さん」と、
共通の友人(男)のことを言って
(その人のことも尊敬してて好きでしたが)、
結果、いろいろあって、
彼女との関係をこじらせてしまいました。

そんなころに出たスピッツの新曲が、『楓』でした。

『楓』をヘビーローテーションでかけて泣きながら、
ああ、私は相手に迷惑をかけたくないとか思って、
信頼してくれた大切な友人に、
正直になることができなくて、
結局、迷惑をかけてるじゃないか。
結局、自分が傷つきたくないという
保身だったんじゃないか。
と、そのとき、気づいたのです。
こんなことは、もうやめようと。

女の子が好きという気持ちに正直になることにしました。

「女の子が好きという気持ちに正直になることにした」
と、その彼女に伝えました。
彼女自身も、別のことでいろいろ悩んでいて、
お互いもっと正直にいろいろ話し合えるようになりました。

 ・・・・・・

それから3年ぐらい経って、引っ越して職場も変わって、
新しい友達ができました。
職場関係の合宿に、彼女も一緒に参加して、
お風呂で一緒になったとき、
どちらからともなく歌を歌い始めました。
(遅い時間だったからか、そのときふたりだけでした)
どっちが歌いだしたのかわからないけど、
この曲好きなんだ、と、
スピッツの『楓』を歌いだして、
お風呂の中でハモッていました。
その彼女と親友になって、
「昔の彼とよりがもどせるかもしれないの」
という彼女を応援したりしていました。
昔の彼を追いかけて海外まで行って、
でもやっぱりうまくいかなかった彼女をなぐさめました。
またいい人に出会えるよ、と。

その半年後ぐらいのクリスマスの日に
一緒に小さなコンサートにいったとき、
「私と結婚するのはどう?」
と、冗談ぽく、でも私としては
朝から言うと決めていたことを、言いました。
法的にはもちろん結婚できないんですが、
彼女と人生をともにできたらいいな、と。
「そういうのも、いいかもね」と、
冗談だか本気だかつかない返事をもらいました。
どう取っていいのかわからないまま、
その後2ヶ月ぐらい二人で会うチャンスがなく・・。
でも2ヵ月後のバレンタインの日に、
手作りのプレゼントを持ってきてくれて、
OKしてくれました。

今年のバレンタインデーで、つきあって9年目、
一緒に暮らして7年半になります。
自分たちらしい「普通」の幸せを、
大事にしていきたいと思います。

「自分の気持ちに正直になることにしました」
というフレーズは、これまでいろいろな機会で
読んだり聞いたりしてきましたが、
(みしゃまん)さんの投稿に書かれているそれは、
潔さ、決意の深さ、切なさ、凛とした雰囲気‥‥
なんだか特別な印象がありました。
その雰囲気はスピッツの楽曲に似ているのかもしれません。

最後の展開にすごくびっくりしました。
びっくりしてから、
じわっと、いいなぁ‥‥と。

法律とか常識とかいろいろ観点はあるけれど、
そこにあるのは「ふつうの」幸せなんですよね。
すてきです。

ほんとうの自分を知る、って
じつはとても大切なことなんですね。
なんだか最近、とってもよく
そう思うんです。

『楓』のなかにも
「僕のままで どこまで届くだろう」という
一節が出てきますね。

自分に嘘をついてきたわけじゃないけど、
まるで自分なんてないかのようにして、
だましだまし生きている時間が
けっこうあるかもしれない。

9年になる、「普通」のしあわせ。
おふたりをつないだ恋歌を、
私も味わわせていただきます。
よしっ、スピッツの新しい
『タイム・トラベル』ばっかり聞いてたけど、
『楓』も聴こうっと。

『楓』は、スピッツの曲をいろんな人がカバーする
『一期一会』というアルバム(名盤!)のなかで
ユーミンがカバーしていて、それもすごくいいんです。

そして、この投稿‥‥いえ、
この物語の、なんと劇的なこと。
何度もくり返し読んでしまいました。

なんていうか、勝手な話ですけど、
「かなわない、切ない恋の話」だと思って
そういう心構えをしながら読み進めていました。

かなうんだなぁ。
かなわない恋も山ほどあるけど、
どんなに厳しい条件でも、
かなう恋もたくさんある。

ただ、その事実単体が、
恋にかぎらず、
ぼくらの暮らしを勇気づける。
そんな気がしました。

素敵な話を、どうもありがとうございました。

よかったねえ、(みしゃまん)さん、
ほんとうによかったねえ!
それからその親友から恋人になって
人生をともにすることになった彼女も、
よかったねえ!
ずいぶん時間がかかっちゃったみたいに
思えるかもしれないけれど、
それは必要な時間だったのだと思う。きっと。

じつはぼくのまわりでも
「恋人ができたの。この子です!」と
女子を紹介してくれた女子がいます。
正直最初びっくりしたけど
(というのは彼女のBFの変遷を
 ちょっと知っていたから)
「そっか、そっか、よかった!」と
その場にいたみんなでお祝いしました。
で、そのふたり、一緒になってから、
仕事にものすごく勢いが出て、
とってもいい感じに人生がすすんでいるように
見えるんですよ。
もちろん立ち止まることも、
ちょっと引き返すときも、あるとは思うけど、
「いっしょ」っていうことの強さを
とても感じたりしました。

(みしゃまん)さんのお話とあいまって、
そうだよな、恋のかたちも、家族のかたちも、
じぶんたちで決めればいいんだよー!
と、思いました。
なんだかとってもあったかい
HAPPYをありがとう、でした。

さてさて「恋歌」、
次の更新は、なんと、イレギュラーに
火曜日です!
なぜかっていうと、バレンタインだから。
おったのしみにー!

2012-02-11-SAT

最新のページへ
感想をおくる ツイートする ほぼ日ホームへ
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN