いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

気がついたら彼の顔に手を伸ばし‥‥
キス、してしまっていたのです。
(投稿者・20代からの恋歌)
 接吻 –kiss–
 ORIGINAL LOVE

 1993年(平成5年)
 
My恋歌ポイント

 長く甘い口づけを交わそう
 夜がすべて忘れさせる前に
共通の友人を介してたまたま知り合った彼。
会ったその日から、お互いの趣味や好みが
とてもよく似ていることがわかって、
友人そっちのけで会話を楽しんでいました。

真面目で少しとっつきにくい印象はあったけれど、
目尻にしわを寄せて笑う彼の笑顔はとても可愛くて。

再び会ったのは、それから1週間後のこと。
1週間前と同様に、友人を交えてまずは店で飲み、
それから皆で彼の自宅に押しかけて
引き続き飲むというコース。

またしても二人で盛り上がっていると、
友人たちはひとり、またひとりと
眠りに落ちていきました。
ぼんやりと空が白みはじめ、
部屋の中もうっすらと明るくなってきました。
徹夜明けで少しテンションが高めの二人。
眠れるわけがありません。
むしろ、このまま寝てしまうのはなんだか惜しい。
そんな気持ちが静かに私の心を満たしていきました。

寝息を立てる友人たちを横目に、
「なんだか修学旅行みたい(笑)」
なんて、他愛もない話をしているときのことでした。
会話が途切れた束の間の静寂、
ふと、彼の顔を見たその瞬間、目が合って。
そして、気がついたら彼の顔に手を伸ばし‥‥
キス、してしまっていたのです。

当時私には、つきあって5年の彼氏がいました。
浮気する人の気持ちがよくわからない、
軽い気持ちで異性に手を出す人が信じられないと
豪語してきた私。
友人からは、恋愛に対してうぶすぎる、
真面目すぎると言われてきたこの私。

自分の行動が信じられず、
頭はただただ混乱するばかり。
事が起きたその日、
彼から届いたメールはかなりのハイテンションで、
余計に私のテンションは下がる一方。
なんてことをしてしまったんだろうと、
彼氏と彼に対する申し訳なさ、
自分の浅はかな行動を後悔しつづけました。
数日後、
「今の彼氏と別れてあなたと
 つきあうことは考えられない。ごめんなさい」
と彼に伝え、終わったかに思えた
私のはじめての浮気。

‥‥でも、やっぱり、
恋、しちゃってたんですよね、彼に。
彼ともう会えないのかと思うと、
苦しくて苦しくて。
当時つきあっていた彼氏は、
本当に私のことを大切に想ってくれる優しい人でした。
そんな素晴らしい彼氏を捨ててよいのか。
あまりにもひどい、むごい、かわいそう。
それに、新しい人とつきあうなんて面倒くさい。
安住の地はいまここにあるじゃないか。
出会ったばかりの彼だぞ。
もしも合わなかったらどうする?
このままでいいんだよ。
そうそう、このままこのまま‥‥

いくら理由を並べたところで、
苦しみから抜けだすことはできません。
なんやかんやと逃げてばかりの自分を問いただし、
出てきた答えは、
「好きだと思える人を選べばよい」という
とてもシンプルなものでした。

それから約1ヶ月後、
5年つきあった彼氏に別れを告げ、
彼を選びました。

部屋にいるとき彼はよく、
好きな曲を私に聴かせてくれました。
間接照明に照らされた部屋の中で
何気なく彼がこの曲をかけてくれたときは、
あの日のことを思い出し、ドキドキして。

結局、彼とはダメになってしまい、
涙なみだの日々を送りました。
でも、素直に好きだと思える人に出会えたこと、
それがいまの私にとって大きな財産です。

失ったからこそわかった、
愛しいと思える人がいて、
その人がそばで笑っていてくれるという幸せ。
いままで自分勝手な恋ばかりで、
こんなこと考えたこともなかったのに、
そんなふうに思えるようになった
自分に自分でびっくりです。

キスからはじまった恋。
人を好きになるって、
本当に理屈じゃないんだと思い知らされました。

いまではすっかり私のiPodの
定番となったこの曲を聞く度、
言葉では言い表せないほどの感情、
楽しかった思い出と彼の笑顔、
そして、もとに戻れない悔しさと
はがゆさが駆け巡ります。
もうあの頃には戻れないけれども、
来年は一緒に、この曲をライブで聴けたらいいなぁと
ひそかに願っています。

わー、きました!
ORIGINAL LOVEの接吻です。

ドラマの主題歌だったのですが、
そのドラマにまぁ、負けないくらい
濃厚な歌詞で、
それが田島貴男さんの力強い声に乗せられると
すごく素敵。
それが思い出の歌だなんていいなぁ。

(20代からの恋歌)さんの、
「安住の地はいまここにあるじゃないか。
 出会ったばかりの彼だぞ。
 もしも合わなかったらどうする?
 このままでいいんだよ。
 そうそう、このままこのまま‥‥」
ここの気持ち、経験ありの方、
多いんじゃないんでしょうか。

詩人の谷川俊太郎さんも
谷川俊太郎質問箱で
「恋愛ってある面では反社会的なものなんだよ」
とおっしゃっていました。

人を好きになることって、ほんとうに、
説明できるもんじゃないですね。

キスから始まった恋かあ。
というか、
(20代からの恋歌)さんが書いているとおり、
「やっぱり、恋、しちゃってたんですよね」、
──そうだと思う。
キスをする前に、もう恋には落ちてた。
たぶん、ふたりとも。
だから、どちらから、なんて関係なかった。
ふたりを強く引き寄せる
つよい磁力がはたらいちゃった。
そういう相手とめぐりあっちゃった。
もう、どうしようもなかった。

そんな、恋に落ちるまでのすべてが
(20代からの恋歌)さんの投稿に
入っているような気がして、
ほんと、読んでいて、ドキドキしました。
けっきょく、うしなった恋なのに、
いまこうして、みずみずしく、
心臓の鼓動まで伝わるような文章として
伝えてくださったことに、
感動しちゃいました。

「失ったからこそわかった、
 愛しいと思える人がいて、
 その人がそばで笑っていてくれるという幸せ。」

というところも、とても好きです。
「来年は一緒に」ってことは、
いまは友人づきあいができているってことかな。
だとしたらそれはそれで素敵なことですね。

「人を好きになるって、
 本当に理屈じゃないんだと
 思い知らされました。」

このコーナーに寄せられる
数々の恋にまつわる投稿を読むにつけ、
我々が痛感することです。
恋は理屈じゃないとわかってたけど、
それにしても、ほんとに、
理屈じゃないんだよなあ。

そして、投稿中に、
もうひとつぼくが共感したフレーズ。

「それに、新しい人と
 つきあうなんて面倒くさい。」

もう、ほんと、面倒くさいですよ。
テンション上がったり下がったり
先回りしたりぬか喜びしたりほぞをかんだり
あやまったりあやまられたり
約束したり時間に遅れたり
うっとりしたりがっかりしたり
かんちがいしたりかえってよかったり
えんえんと歩いたりえんえんと考えたり、
もう、ほんと、面倒くさいですよ。

それでも、落ちたくて落ちるんですよね、恋に。
そりゃもう、ほんとに理屈じゃないんだなぁ。

そして、恋と理屈の関係は、
年をとるほどに少しずつ理屈の壁が厚くなる。
理屈がかならず勝つとはいえないけれど、
守るものが多くなるにつけ、
生活の場が安定するにつけ、
理屈の壁はちょっとずつ厚く高くなっていく。

だからこそ、
その壁を乗り越えたり壊したりするドラマを
人は普遍的に好むし、
自分にもちょっと期待するのかもしれません。

恋するきもちは理屈ではない。
そのことについては、つくづくその通りだと思いながら、
自分が大きく反応したのは、このフレーズでした。

「友人たちはひとり、またひとりと
 眠りに落ちていきました。」

同じような経験がぼくにもあるのです。
ただし、いいですか、
カメラの位置をググーッと横に移動してください。
主観は、起きている人ではありません。
ぼくはそのとき、
「眠りに落ちていく友人」のひとりでした。

大学時代、友だちの部屋でみんなで飲んでいたら、
一組の男女のムードがグングンよくなってきました。
そのふたりはしっとりと盛り上がり、
ずーっと起きているんです。
他の友人は酔いつぶれていきます。
ところが、ぼくはお酒が飲めません。
酔いつぶれることができない。
だからタヌキ寝入りをしました。
だって、仕方がないじゃないですか、
どんどんいいムードになっていくんだもの。
‥‥起きているふたりの、ひそひそとした、
たのしげな会話が聞こえてきます。
いやいや、聞きたくないんですよ、ほんとうに。
でも仕方なかったんですってば、あの場面では。
ぜんぜん寝られないし!
で‥‥やがて‥‥
あきらかに「意味深な沈黙」がありました。
(20代からの恋歌)さんの投稿で言うところの、
「会話が途切れた束の間の静寂」がありました。

そのふたりが後日どうなったのか、
当人が読む可能性もわずかにあるので、
これ以上はよしておきます。
ただひとつ、正直に言いましょう。
ずっと起きていたその女の子のことをぼくは
「ちょっといいな」と思っていました。
つまりぼく側のカメラからは、
失恋(軽度)の物語が映っていたわけです。

すみません、ぼくごときの私話を長々と。
ふいに思い出したもので‥‥。
(20代からの恋歌)さん、
思い出すきっかけをありがとうございました。
あれはすこしばかり、つらかったなぁ‥‥。

ひゃー、
ほんとにもう、すごい雰囲気になってきました、
このコンテンツ。
次回の投稿も、いいですよー。
おたのしみに!

2012-03-17-SAT

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