『愛しさと心の壁』
 サンボマスター

 
2006年(平成18年)

 もう何言ってもさ、
  好きなんだから。
 いいじゃん、それで。(もと)
愛しさは心の壁を越えて降り積もるんだ
未だにあなたの夜を僕は引き受けたいんだ

新しい歌ですが、サンボマスターはまさに
恋歌世代の今の想いを熱く歌ってくれるので
ぜひ紹介したいのです。

サンボマスターは愛する人の大好きなバンド。
一緒にライブに行こうと誘ってくれて、
この歌だけは聞いておくべき
と言われた中の1曲がこの曲でした。

私は彼に出会う前、恥ずかしい恋愛をしてきました。
ずっと信じて長年付き合ってきた人に浮気され、
婚約解消。
その後、ひとりがつらくて、
不倫やら一夜だけの関係やらなんやら。

もういいや、とあきらめていた30代半ば。
同い年の彼と出会いました。

彼は過去を詮索することはありません。
なので、私は自らその恥をさらすこともありませんが、
お互いこの年までひとりだったことを思えば、
きっとなにかあっただろう、とは思っていると思います。

でも、なんかそういうのもすべて、私であり、あなた。
もう何言ってもさ、好きなんだから。
いいじゃん、それで。
無口な彼ですが、その想いは伝わります。

ライブでこの曲を聴いたとき、
熱い歌声が心にぐんぐん届き、
涙がつーっと流れました。

そして、私は彼と結婚しました。
家族ももうすぐ、もう一人増える予定です。
(もと)

やあ、新しい恋歌の投稿です。
サンボマスター、ぼくも好きです。
あの、がむしゃらなパフォーマンス!
愛がほとばしり続ける演奏!
ライブはすごいんでしょうねぇ、うらやましいです。

(もと)さんの投稿、
とても気持ちよく読ませていただきました。
『愛しさと心の壁』の、
ジャケット写真のような読後感でした。

生きてきた上で当然いろいろあって、
そのいろいろの中には、良くないことや、
どうしようもないことも含まれているだろうけど、
そういうものも、ぜんぶひっくるめて好きなんだ。
いまのきみを育んだ、すべてのものごとが愛おしい。
だからぜんぶ、引き受けるのだ。

彼のそういう想いを勝手に想像して、
勝手にどんどん感動しています。

無口な彼と、熱く語るサンボマスター、
そのコントラストも、
この投稿ぜんたいに心地よい深みを
与えていると思いました。

さわやかな投稿をありがとうございました。
もうすぐやってくる新しいご家族にも、
すてきなおうちにやってきましたね、とお伝えください。

しみじみ歌詞を読んじゃいました、サンボマスター。
男の子っぽいですよね。
ダメも勇気も宣言めいた感じも汗もぜんぶひっくるめて、
この歌は男の子のせいいっぱいのプロポーズ。
「この歌だけは聞いておくべき」と
無口な彼がそう言ったんだったら、
それはもうきっとそのときからプロポーズ。
このせつないダンスナンバーを
いっしょに聞いて涙したなら
あのライブの夜からいまの(もと)さんと彼の運命、
決まってたんだと思いました。

過去。ありますよー。
人に言えないような過去、ないわけがないじゃない。
「いいじゃん、それで。」
そうそう、それでいいのだ!

サンボマスター、私も好きです。
が入社したてのころ、
ライブに誘ってくれました。
かっこよかったなぁ。
でもこの歌は知らなかった。なんでだ!!
と後悔するくらいいい歌。
「これから日曜日の午後のような安らぎだけ
 君と見るんだ」
という歌詞が最後に出てきますね。
もー、涙出るー。
そんなふうに決意した人となら
もう一人増えるかわいこちゃんもいっしょに
つきぬけるような強いしあわせを
わかちあっていける、という気が、勝手に、いたします。

人の出会いって、すごい。
感動しました。
ありがとうございました。

いま自分が若かったら
ライブに行ったりするのだろうな、と思いつつ、
踏み込んでいないバンドのひとつです。

切ない過去が淡々と語られ、
このコーナーに寄せられる投稿に
しばしば見られる
「ラスト2行のハッピーエンド」。
これはもう、恋歌くちずさみ委員会の
「文体」といってもいいのかもしれません。

いまある幸せは、続いてきた過去の結果。
そんなふうに受け止められるのが
くちずさみ世代なのかもしれませんね。

それでは、つぎは土曜日に。

 

2012-08-01-WED

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