『田舎道』
 大滝詠一

 
1982年(昭和57年)
 アルバム『アーリー大瀧詠一』
 収録曲

彼からメールが来た時は、
毎回本当にうれしかった!
       (ジャーニー)

麦わら帽子をぶん投げて
駆け出したい田舎道
(ヨロレ〜ヒ〜♪)

大学を卒業してすぐできた彼氏は年上で、
お仕事の忙しい方でした。
私と彼の仕事の休みが合わず、
たいていどちらかが眠い中のデートでした。
うたた寝しちゃった時には
「あ! ○○の事15分も見逃した!」
とか冗談を言ってました。
大好きで一緒にいたくて、
一緒にいられる時はうれしくて仕方なかった。

「次はいつ会える?」なんて聞いたら
もうデートが終わるみたいで言い出せなくて、
いつも次のデートの日決められずに帰っていました。
(帰ってから
 「ぎゃー! 次はいつ会えるんだろう!」
 とのたうちまわっていました。)

デートは忙しい彼に合わせて決めていました。
彼からデートのお誘いメールが来た時は、
毎回本当にうれしかった!
麦わら帽子ぶん投げて駆け出したい程うれしかった!
(この頃、大瀧詠一のCDをよく聞いていました。)

『田舎道』を聞くとあの時の
うれしい気持ちでいっぱいになります。
また誰かを好きになっていいかなぁー。
なんて思ったりもします。
悪い事ばかりじゃないのかもなぁー。
(ジャーニー)

会ってるときがうれしい!
いっしょにいるだけでうれしい!

じっくりと読ませる恋の思い出もいいけど、
こういうカラッとしたメールもいいですよね。
読んでるだけで、そのころのうれしさが
伝わってくるようです。

恋の終わりも、いえ、
恋が終わったのかすら、書かれていませんけど、
きっと、それから何年も経ったいま、
胸に残っているのは、お別れのつらさよりも
「彼からデートのお誘いメールが
 来た時のうれしさ!」なんでしょうね。

『田舎道』は、
はっぴいえんどのラストアルバム
『HAPPY END』に収録されていますが、
投稿には大瀧詠一さんの名義で記されており、
ベルウッドから出た『アーリー大瀧詠一』にも
収録されてますので、そちらのジャケットで。

そうそう、別れたかどうかは書いてないんですよね、別に。
そのこと自体もたいへん、カラリとしていると思いました。
別れたかどうかよりも、
この投稿のいちばんのポイントは‥‥

「一緒にいられる時はうれしくて仕方なかった。」

「彼からデートのお誘いメールが来た時は、
 毎回本当にうれしかった!」

ね。そこです。
「うれしい」なんですよねー。
恋の行方よりも、気持ちがぱあああっとなったときの記憶。
そっちのほうがずっと鮮やかに残っているのでしょう。

麦わら帽子ぶん投げて田舎道を駆け出す。
‥‥ああ、なんてすばらしいよろこびの表現。

そんなふうに、全身でよろこぶことがしたいと、
この投稿を読んで本気で思いました。
いや、よろこぶ理由は恋じゃなくていいので。

 

かわいいかわいい。すっごくかわいい。
おなじ「いちゃいちゃカップル」でも
まわりがちょっと困っちゃうような
ひとたちもいるけど、
こういうノリは、かわいいなあー。
(ジャーニー)さん、まさしく
「チッチとサリー」の「チッチ」みたい。
会いたい人に会うときは、
ことばなんか要らないくらい、
全身で「うれしい!」を表現しちゃう人。
まわりからは「バレバレ」って言われちゃうけど、
そんなのぜんぜん気にしない(気づかない)人。

大瀧詠一さんをリアルタイム‥‥
ではないかもしれないけど、
ちょっと遅れて聞き直した世代のかたの
当時の思い出かと思ったら
「彼からデートのお誘いメールが」
‥‥ということは、
わりと最近のはなしなんですね。
それもちょっとびっくり。

ところでこの曲、女子のアイドルグループとかが
カバーしてもいいと思うんだけどなー。

 

以前の「You are my sunshine」のときに
感じた胸の高なりに似ています。

そうなんですよ、
「You are my sunshine」の投稿も
終わりが書いてないんですよ。

恋のまぶしいエッセンス、
いちばんあま~い部分。
ああ、いいなぁ。
こんな彼氏がいたらいいなぁ。
こんな情景が思い浮かべられたら
いいなぁぁぁぁぁ。

「悪い事ばかりじゃないのかもなぁー」
という一行が
私の心に響きましたよ!

帽子をポーンと投げるほどに。
そうです、恋ってすばらしい。

ではまた土曜に。

2012-11-07-WED

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