「始まっちゃったなあ」ですよね。
恋って。
「あ〜あ」ですよね。
「やれやれ」ですよね。
恋って。
恋はいつでも受動態。
落ちざるをえなくて
落ちるものなんですよね。
だからこそ、恋と縁がないときに、
恋に落ちようとしても
本質的には、意味がない。
走り出すしかないか、と
うれしくあきらめつつ、
すでに両足はその人に向かって
地面を踏みしめだしている。
ひとまずは、恋のはじまり特有の、
なにもかもが独特の輝きと
血の沸くような高鳴りをもたらす
例の魔法の期間を、
どうぞおたのしみあれ。
それにしても『Yes-No 』の歌詞ってば、
追えば逃げる素敵な不思議ですよね。
「今、なんて言ったの?」と。うん。
「ほかのこと考えて、
きみのことぼんやり見てた」と。
はい、なるほど。
「好きな人はいるの?
答えたくないなら、
聞こえないふりをすればいい」と。
突然距離を詰められた感はあるけど、
好きな人がいるかどうか聞かれたわけですよね。
で、つぎの瞬間どうなるかというと、
「君を抱いていいの?」ですよ!?
「好きになってもいいの?」ですよ!?
どういうこっちゃねん、と。
どっちがどっちにどういう気持ちやねん、と。
と、このように、
ただ歌詞をふつうになぞるだけで
上質のミステリーへ導かれるような
素敵な迷宮へ足を踏み入れてしまうかのような
名曲『Yes-No』。
この「恋歌くちずさみ委員会」に
2回目の登場です。