昔の恋が自分にとって
抗いがたく大きな意味を持ってしまうのは、
それが昔のことだからじゃないかなぁ、
と思うことがあります。
いえ、ことば遊びじゃなくて。
ぜんぶの恋や思い出を並列にならべて
均等に眺めてみたら、
どの恋がいちばん強く輝くのだろう。
そんなふうにも思うのですが、
それはもう、根本的に無理なことですね。
「遠くのものは大きく、
近くのものは小さく見えるだけのこと」
というのは、スタジオ・ジブリの秀作
『耳をすませば』に出てくるセリフですが、
ぼくがこのセリフを好きなのは、
過去を軽んじるのではなく、
いま感じる大きさにとらわれていたら
身動きとれないよ? と、
つい拘泥しがちな直近の価値観を
ふっと「ちゃら」にしてくれる
思いがけないベクトルを持っているからです。
まるで、ゴキゲンな友だちの無意識なひと言みたいに。
そしてそのセリフの前には
「恐れることはない」というひと言がある。
そんなバロンのひと言に背中を押されるように、
最後の最後で、
たいへん生々しく投稿へ戻るとしたら、
昔といまのセックスに
順序なんてつけられないっていうことです。 |