『素顔のままで』
 (Just the Way You Are)
 ビリー・ジョエル

 
1977年(昭和52年)

真っ直ぐに笑うとこが
好きなんだよ、って
言ってくれてたね、先生。
 (m)

僕はそのままの今のままの君がいいんだよ
I'll take you just the way you are

17年前、高校入学! 新しい仲間! 新しい環境! 
見るもの全てに目を輝かせて心躍らせていた16才の私。
こんなに時間が経っているのに、
今でも鮮明に覚えています。
いや、この『恋歌くちずさみ委員会』が
思い出させてくれたんです!!

スポーツが大好きな私は
マイナーな競技ではあったものの、見た瞬間に惹かれ
入部届けを提出。
一目惚れってやつですね、これ。
そして先輩が集まる教室へ、そして顧問の先生が…
なんだこの人!!!
なんだこの感じ!!!
変な感じ!!!
誰が見てもイケメンじゃないし、
16才の女子高生から見たらただのおやじ(?) 、
変なジャージ‥‥
でも30才の先生は、あの時の
私の運命の人だったのです。

いつの間にかお互いに惹かれ合って、
誰にも内緒で付き合い始めてた。
部活が遅くなると皆を順番に送り届け、
いつも私が最後。
皆に勘繰られないように順番変えたり。
部活がない日は学校から少し離れ、
人目のつかない場所で待ち合わせ。
ドライブしたり、先生のアパート行ったり。
子ねこを、二人で育てたりね。
とにかく学校の授業でも部活でも、
いつも一緒に居てくれた。
途中違う学校へと転任しても、
部活にだけは顔を出しいつも通りに教えてくれた。
部活中はお互いに気持ち切り換えて猛特訓!

ただそれだけで良かった‥‥一緒に居るだけで‥‥

でも私は早く大人になりたかった!
先生に少しでも近づきたかった!
先生同士が集まる場所は大人の色。
あの時の私には到底出せなかった色。
どんな色にでも染まりたかった。
先生に、大人に近づく為にはどんな事をしても!!
そう思えば思うほど、自分に苛立ち、
まだ子供と認めたくない気持ちが、
あからさまに表情に行動に出ていた。
色んなものが、溜まりすぎてたのかなぁ。
デートも遠出かアパート。
手を繋いで‥‥なんて周りのカップルのようには
いかなかった。

そんな時、ビデオ観たりCD聴いたり‥‥
この曲聴いてたら
『おまえにも、いつか分かる日がくるよ、きっと』
って、何かを諭したように言われ。
反発のように、あっそ‥‥と言ったまま
和訳なんて調べなかった。

まだまだ子供だった私は、
自分の気持ちを押し付けるだけで、
相手の事を思いやる気持ちはなかったと思う。
先生はあの時、あの瞬間に
私に気付いて欲しかったのかな。
『いつか』じゃなくて、あの瞬間。
『真っ直ぐに笑うとこが好きなんだよ』って、
ちゃんと言われてたのに、忘れてた。
大好きで大好きで、たまらなかった。
自分自身を見失ってた。
『ずっと一緒だよ』の言葉が何故かいつも
悲しく聞こえてた。

高校が終わると同時に終止符を打ち、
いつしか噂で先生も家庭を持ち
新しい人生を歩んでいるって。
私はがむしゃらに仕事して、遊んで、
好きな男の子とも付き合った。でも、苦しかった‥‥

でもそんな私も、
ありのままの自分で居られる人と出会って
結婚して子供にも恵まれた。
そして今、あの時の先生の気持ちが痛い程突き刺さる。

やっと前に進めます!
背伸びしない、そのままの自分を
好きでいようと思います。
どこかで、ばったり会ったら、
真っ直ぐな笑顔を見せるね!!

(m)

うぉーん、なんてせつないんだろう!
キュンキュンしちゃいますよ。
先生は大好きだったのに‥‥わかんなかった自分。
恋のライバルはいつも自分。
ワーオ、青春だ。

でも私はあえて、ひとつ言いたい。

「この歌、いいんだよ」

といって、曲をくれる、彼氏?
そう、あなた、あなたのことです。
わかりにくい、っちゅうねん。
それで、なにが言いたいか、
はっきり言ってくれ、っちゅうねん!
この曲の、この行がグッとくるって、
教えてくれよ(涙)!!

気を取り直して‥‥
この『素顔のままで』、もちろん、もっちろん、
知ってる歌でした。好きでした。
改めて英語を読み直すと、すごいね、
これでクラリと来ない女子はいませんね。
全行よろしおすな。でも‥‥ぼんやりさせないで、
「全行いいよ、これが俺の気持ちなんだよ、
 もっと言えば、和訳するとこうだよ」
と、いつだって、言い添えてくれたまえよ!

ああスガノ怒ってるよ。
まあ、男性はそういうところがありますけどね。
「わかるだろう」ってやつですね。
でもさあ、この場合、高校の先生と生徒だから、
英語の歌詞は調べなさいってことかもよ。
(このくらいわかるって思ってたとか?)

でもさ、それよりもさ、
女子高生に「変わらないで」っていうのって
むりじゃない?
卒業したらもっと変わるよ?
変わるのがその年ごろの女の子だよ。
「早く大人になりたかった」っていう
(m)さんの気持ちを尊重してあげなよ。
好きだったらその変化もぜーんぶ引き受けるべきだよ!
‥‥と思う。

でも、『恋歌くちずさみ委員会』が
思い出させてくれた、って!
ありがとうございます。
しかも「やっと前に進めます!」って。
しみじみうれしいです。

目が三角になってる、スガノさん。
なるほどぉ、
ぼんやりした伝え方じゃわからない。
確かにそれはそうかも。
はっきり言うのは恥ずかしいのかもしれないけれど、
「素顔のままで」と言いたいのならば、
自分だって素直にならないと、ねえ!

いずれにしても、
タブーとされている恋愛はきびしいですね、むずかしい。
それだけに強く心に刺さっているのでしょうけれど。

(m)さんがいま、
こうして明るい投稿をくださっていることが
なによりだと思います。
ぼくらのコンテンツが思い出すきっかけに‥‥
うれしいなぁ。
ありがとうございました!

おお、久々のスガノの三角目。
曲を送る男子、わかりづらいっちゅうねん。
ごもっとも、ごもっとも。
おっしゃること、ごもっとも。

そんな怒りのスガノに、
例によってみもフタもない
ひとつの真実を差し出しましょう。

男子というものはな、
好きな子に思いを託した曲を
送るのが好き、と見せかけて、
じつは、好きな子に思いを託した曲を
送るという自分が好きやねん。
コミュニケーション自体は二の次やから、
わかりづらくて当然やねん。
っていうか、わからん場合も多々あるな。

あ! こういうことを男子全体が続けていくから
その何十年かあとで、夫婦の関係になったとき、
妻全体は夫のことばの8割を
「はいはい」って流すようになるんやな。
うわー、大きな枠組みで、自業自得!

それはそうと、
久々に先生と生徒の恋の思い出でした。
意外に、あるんですよね、この関係。
でも、いまは少ないのかも?

それにしても、
「Just the way you are」って、
なんとも英語風の言い回しですねぇ。
「素顔のままで」って、いい邦題だと思う。

それでは、また。

 

2013-05-04-SAT

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