『センチメンタル・ナイト』
 柳ジョージ

 
1985年(昭和60年)
 アルバム『タバコ・ロード』収録曲

4年ほど
一緒に暮らして
別れた恋。
 (今年で50歳)

左手の薬指に 指輪の痕があった
遠くを見るようなあの仕草も
今はもう無かった

コーヒーを飲む彼女の左手には
指輪の跡があったんだよね。

20歳と19歳の恋。
4年ほど一緒に暮らして別れた恋。
数年後、いつも二人で行った喫茶店の前でばったり.....
20年数年前の話です。


一緒に住み始めてしばらくして初めて彼女の家へ。
信じられないくらい大きい、かやぶきの家。
家の周りは見渡す限りの田んぼ。
三姉妹の次女の彼女。長女は結婚し三女は中学生。
家族は大歓迎してくれたけど
腰が引けたなあ。
当時は覚悟が無くって
そういうの見透かされてたんだろうな。

別れるときに、結婚資金にと二人で貯金してた
お金の半分を部屋のカギと引き換えに渡されました。


何も変わらないねと言われた俺と、
髪型や化粧、雰囲気まで変わっていた彼女。

今は少しだけ大人になりました。

(今年で50歳)

30年くらいの時間の幅を
何度か往復するような構成。
読みこむほどにじわじわと味わい深い、
男性からの投稿です。

柳ジョージさんのアダルトなムードで
ブルージーに彩られている文面なのですが、
そこにあらわれる「かやぶきの家」!
ここのくだり、すごく好きです。いいなぁ。
たまらないリアルを感じます。

(今年で50歳)さん、
たぶんぼくと同い年ですね。
わかります、わかりますよ。
みるみる大人に、どんどん美しく、
変わってゆくのはいつだって女性の方でした。
ぼくもいまになってようやく言える気がします、
ちょっとは大人になりました‥‥かなぁ??

殿方の恋愛に「プレッシャー」というものが
あることに気づいたのは
私はけっこう大人になってからでした。
そして「プレッシャー」が
おおきな壁として立ちはだかり続けるのが
オトコの人生なのか?! と実感したのは
30歳でひとりの男子の親になってからでした。

くよくよしていたり
空回りしているあの男子、この男子のこと、
充分わかってあげられなかったよなぁ。

別れるときにお金も半分こして
「変わらない」となつかしんでくれた、
とてもいい彼女だったんですね。
なんだかカッコいいなぁ。

指輪の跡。
数年ぶりに偶然の再会をして、
喫茶店に入ったときに、
彼女、するりと、指輪を外したのかなあ。
照れくさかったのか、やさしさだったのか。
あるいは、ほんとに一瞬だけ、
あの頃の気持ちでいたかったのかな。
あ、それって男のセンチメンタル?
(今年で50歳)さんも、いまはきっと
渋くてかっこよい殿方になってるんじゃ
ないでしょうか。

スガノのマネして「殿方」って書いてみたけど
なんだか今使うと、檀蜜っぽい気がしますね。

「柳ジョージ」から
「かやぶき屋根」を経て
「壇蜜」へ風景が変わったところで
バトンを渡されてしまった。
武井さん、困ります。

この投稿でぼくが好きなのは、
「腰が引けたなあ」です。
そういうことを
きちんと「等しい分量で」認めるまでに
なんとも時間がかかるものだなぁ。

「若すぎた」とか、
「世界が違った」とか、
「時代が違ったら」とか、
なんか、男は、
「言い回し」で逃げちゃうものです。
ほんと、すいませんという感じです。

クラプトンくらいかっこよければ
言い回しがそのまま生き様になるんだろうけど、
そういうわけにもいかないぼくらは、
せめて年を取ってから
柳ジョージさんのギターでも聞きながら
「腰が引けたなあ」と等分で認めたいものです。

できてなかったなあ、と
昔の自分をふり返ることは、
後悔とは違うと思うのです。

連日更新、「恋歌くちずさみ委員会」。
もちろん、明日も更新があります。

 

2013-05-25-SAT

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