『野性の風』
 今井美樹

 
1987年(昭和62年)

スキーツアーの
見送りに行ったら
そこには彼の姿がありました。
 (841やよい)

「ゴメン…」と言ったのね


23歳のバレンタインの頃、
19歳の男の子に一目惚れされました。
当時、私は10歳年上(誕生日が一緒でした)の人に
相応しい大人の女性になろうとがんばって、
背伸びするように恋してました。
そんな私に、気持ちを隠そうともせず、
真っ直ぐで素直な年下くんは危険すぎました。
胸がきゅんとなる言動の数々。
可愛くないわけないです。
年上の人を一所懸命好きなことに、
ちょっと疲れてもいた私には、
一所懸命好きを伝えてくれる年下くんは居心地良く、
自分でも気がつかないうちに
好きになっていたようでした。
年上の人のこともあって、
お互いちゃんと言葉にしていなかったけど、
ドライブしたり、送り迎えしてくれて、
車の中で明け方までしゃべったり、
水族館デートしたり、
電話で5時間も話してたりetc.楽しかったな。

そして、出会いから1年後のバレンタイン、
会う約束もしていましたが。
その直前の連休、
スキーツアーに行く仲間たちの見送りに行くと、
急遽参加することになった年下くんが。
聞いてなかったし、そのツアーには
彼のことを好きだという、彼と同じ歳の女の子も
参加していたのです。
うれしそうに彼にまとわりつくその子をみていたら、
嫉妬すると同時に何故か自信がなくなったのです。
「やっぱり同じ歳の若い子の方がいいよね、
 話しもあうだろうし」
なんて勝手に思って
「私は年上だし、重荷にならないようにしなきゃ」
と、傷つくかもしれないことから逃げたのでしょうね。
「弟みたいに大切に思ってるよ」という内容の手紙を
送ってしまったのです。

傷つけてしまいました。
ホントに憔悴しきった彼を見て、
私もいっぱい泣きました。
彼と行こうとチケットを買っていた、
彼が大好きな今井美樹さんのコンサートに
独りで行きました。自分への罰です。
曲の感じとは関係なくずっと泣いてました。
その後結局、本当の気持ちを伝えたのですが
苦しそうな顔をさせてしまいました。
「ごめん、もう」って。

あれから四半世紀、私はアラフィフ、
可愛かった彼も40半ばのいいおじさんになってるはず。
あのことは今でも後悔してるけど、
その後の展開によっては、
今目の前にいる大切な子どもたちに
会えない人生になっちゃうかもしれないので、
もう一度あの時に戻ってやり直したい、
とは思いません(^-^)彼もいいおじさんというか、
いいお父さんになってたらいいな。

もう一人、何も言わずフェードアウトした年上の彼、
独身主義だけど気持ちが変わりつつあるって
言ってくれてたのに。
完全に気持ちを変えてくれる人と出会って
幸せなアラ還を迎えてるといいな。

(841やよい)

「傷つくかもしれないことから逃げた」
というところに、ほんとうに同感します。

恋でも仕事でも
まっすぐ行って玉砕するほうが
いさぎよくていい、
あとで自分の栄養にもなるし、と思うし
生意気にも人にそうアドバイスするんですけど、
まぁ、じっさいはとにかく斜に構えて
ナナメな恋をしていました。
言いたいことも言えてないし、
まぁ、そうであればこのあたりで引く、なんて
勝手に考えたことが幾度あったろう。
(そんで、それはすっごく迷惑!)

好きって言ってるのに
なんでスキーツアーに行くんかなぁ?
バカァー。
(と、いまは正直に、終わってみる)

10歳年上の彼と4つ年下の彼の間で
ゆれていた23歳の頃、かあ。
「もう23歳」だと思っていたその年齢は、
いま思えば「まだまだ23歳」。
そして23歳からしたら19歳って
(たった4つなのに)
すごくこどもに見えるいっぽうで
「かなわないなあ」って降参しちゃったりも。
今思うとぜんぶ「みずみずしい」です!

「弟みたいに大切」‥‥。
やさしい言葉のようでいて、
恋する19歳男子には
突き刺さっちゃった言葉なんでしょうね。
「そういう二人もアリだよね」
なんて軽くいなせるわけもなく、
真っ直ぐなだけに、ぽきりと折れちゃった。
大丈夫、彼はきっとかっこいい
おじさんになってると思いますよ。
(841やよい)さんが、
いましあわせなのと、おんなじように!

年上の人と、年下の彼、
どちらにどう動くのだろうと
恋の行方を気にしながら読みましたが、
どちらでもなく、
しかも、ちっとも悲しくない結末。
このあたりが、ドラマじゃなくて
「ほんとうの話」ならでは。

あと、この投稿にかぎらず、
この「恋歌くちずさみ委員会」に届く
たくさんの恋の思い出を読みながら、
「子ども」のことについて
しばしば思うことなのですが、
(子どもについては
 いろんな立場の方がいらっしゃるので
 絶対的な意味で言うわけではないですが)
「いま、目の前にこの子がいるということ」が、
過去のさまざまな恋の選択肢を
選ばなかった道として潔く受け入れ、
いまの関係(最後に選んだ恋)を
強く肯定することにつながる、というのは、
多くの人にとってあるのだなあと思いました。

そうですね、肯定感。
たくさんの投稿の後半部分にそれを感じます。
「いろいろなことがあったけれどいまはこうです」
と、現在にシフトチェンジしてくるところ、
思い出から「今」につながってくるくだりでいつも、
読んでいて感動してしまいます。
ぶわっと、ゆたかになる感じ。
その景色に子どもがいれば、ゆたかさもなおさらです。

あれですね‥‥
当たり前のことを言いますよ。
やはり恋というものは「タイミング」ですね。
タイミング、重要。
言い古されたことですけれど、ほんとうに。
タイミングひとつで人生が変ること、あります。
ひとつの感想として、シンプルにそう思いました。
(841やよい)さんも、
その「今」につながるタイミングに関しては、
きっとばっちりだったわけで‥‥ねえ!

ああ、もう、すごいです、みなさん。
「読ませる」投稿が次々に届いています。
次は土曜日にお待ちしていますね~。

2013-09-04-WED

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